第一章
[2]次話
浅いプールに飛び込むな
この時戸松家の面々は一家でプールに来ていた、そうしてだった。
様々なプールで遊んでいた、一家の二人の娘である小学五年生の弓香と四年生の妙子もだった。
水着を着て楽しんでいた、弓香は茶色がかった波打つ髪の毛を首の付け根の高さで切り揃えた大きな気の強そうな目と小さな赤い唇の女の子で妙子は大きな穏やかな目と優しい感じの口元で姉と同じ色の髪の毛をポニーテールにしている。
二人はそれぞれ遊んでいたがここでだった。
妙子がプールに飛び込もうとするとサラリーマンをしている父の淳史妙子にその遺伝を受け継がせた顔の黒髪を真ん中で分けた長身の彼が言って来た。
「あっ、飛び込んだらいけないよ」
「どうして?」
「そこのプールが浅いからね」
「そういえば」
夫の横にいる妻の若菜も頷いた、姉の方に遺伝を受け継がせている顔であり背は一六二位でかなりのスタイルを黒ビキニで覆っている。
「そうね」
「だからだよ」
父は下の娘にさらに言った。
「飛び込まない、飛び込むなら」
「それならなの」
「もっと深いプールで」
そこでというのだ。
「飛び込まないとね」
「駄目なのね」
「そうだよ」
こう言うのだった。
「浅いと駄目だよ」
「どうして浅いと駄目なの?」
弓香が言ってきた。
「それは」
「ぶつかるからだよ」
「ぶつかる?」
「プールの底にね、川や海も浅いと」
「そこにぶつかるの」
「飛び込んだ時の衝撃は大きいんだ」
弓香にさらに話した。
「それがまともに足下手したら頭にくるから」
「飛び込み方次第で?」
「そう、大怪我をしかねないんだ」
父の言葉は真剣なものだった。
「だから妙子も弓香もだよ」
「注意しないといけないのね」
「飛び込む時はね」
くれぐれもというのだ。
「そうだよ」
「そうなのね」
「そしてね」
父の言葉は続いた。
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