第一章
[2]次話
二番でも同じ学部
熊野瞳は県内でもトップの進学校に通っている、そしてその学校でも常に勉学に励んでいてだった。
学年で常に二番だ、だが。
「二番じゃ駄目なんですかって言われると」
「一番ね」
「いや、ああしたのは一番じゃないと駄目だけれど」
瞳はクラスメイトに返した、黒髪をポニーテールにしていて小さめの楚々とした目とピンクの唇と高い鼻を持っている面長の少女だ。背は一五七程で胸はあるが全体的にすらりとした感じだ。
「けれどね」
「いや、中一の時塾の先生に言われたの」
素っ気なく言うのだった。
「何で勉強してるか」
「そのことね」
「将来の為だってね」
それのというのだ。
「それの為で一番になっても」
「それでもなの」
「志望校に入られなかったら」
そうなればというのだ。
「意味ないってね」
「そう言われるとそうね」
「それで何番でもね」
二番以外でもというのだ。
「志望校に合格したら」
「いいのね」
「それで将来の夢も適えられたら」
瞳はさらに言った。
「それでね」
「いいのね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「二番でもね」
「いいのね」
「私八条大学の医学部に入って」
瞳は志望校の話をした。
「それでお医者さんになるのがね」
「夢なのね」
「だからね」
そうであるからだというのだ。
「二番でもね」
「いいのね」
「そうよ」
こう言うのだった。
「確かに一番になりたくても」
「目的はお医者さんになることだから」
「いいわよ」
「そうなのね、ただね」
ここでだ、クラスメイトは瞳に話した。
「一番の早乙女君もね」
「ああ、志望校一緒よね」
「八条大学のね」
この大学のというのだ。
「医学部よ」
「そうよね」
「知ってるのね」
「ええ、けれどね」
それでもというのだ。
「彼は内科希望らしいけれど」
「あんたは違うの」
「私は感染症の方だから」
進みたいのはというのだ。
「また違うからね」
「一番と二番で同じ大学に進みたくても」
「それでもね」
「進みたい先が違うから」
「あれこれ考えてもよ」
そうしてもというのだ。
「またね」
「違うのね」
「そう思うわ」
こう言うのだった。
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