第二部 1978年
歪んだ冷戦構造
少女の戸惑い その3
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は、反省した。
しかし反省は、あきらめではない。
グレーテルを、早く諭したほうがよいと考えたまでのことである。
積極情報、世にいう偽情報工作は、KGBの十八番であった。
例をとれば、戦前に世界各国を騒がせた『田中上奏文』である。
この怪文書は、1925年ごろ、ジェルジンスキーの提案に基づき、OGPUが作った物である。
(OGPU、合同国家政治総本部とは、KGBの前進機関である)
1929年9月、突如として日本国内に持ち込まれ、当時京都で開かれていた太平洋問題調査会の会議の座上で提出されたの始まりという。
そして日米開戦前の1930年代に米国共産党の秘密ネットワークによって全世界にばらまかれた。
東ドイツの環境問題に関心を持ったカレル少年。
カレルが調査していた、高速道路沿いの不法投棄。
それは、人民コンビナートと呼ばれる、東独の国営企業の産業廃棄物が原因。
急速な戦時増産体制によって、ごみ処分場が足りなくなり、空き地に建設残土とともに廃棄していたのだ。
そして、カレルが調べていた高速道路は、シュタージ第8局の管轄だった。
いくら総合技術学校の9年生とは言えども、シュタージはその目を逃さなかったのだ。
彼は、シュタージの陰謀によって、ヒッピー思想にかぶれた危険人物とされてしまったのだ。
そんな彼と夏休み中、逢瀬を重ねたグレーテルは、ヒッピーの恋人という烙印を押された。
駐留ソ連軍が撤退し始め、ソ連による抑圧政策が弱まってきた時世である。
KGBの下で働いていた、シュタージにも敵対的な眼が増えてきていた。
つまり、イェッケルン家は、シュタージの偽情報工作の真っ只中に放り込まれてしまったのだ。
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