第十六章
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「そうでなければならない。王は絶対的な存在であるべきだからだ」
「貴方と王についてお話するつもりはないのですが」
「そうか。ではやるつもりか」
右手を構える。そこにカブトムシがやって来た。
「ならば容赦はしないぞ」
「いやいや」
だが根岸はそれを見ても何もしない。その慇懃そうで明らかに腹に何かがある笑みを彼に向けるだけであった。まるで何かカードを持っているかのように。
「私はそのつもりはありません。少なくとも私はね」
「どういうことだ?それは」
「私だけが蘇ったとは思っていませんね」
そう天道に問うてきた。
「まさかとは思いますが」
「ふん。では他に戦う者がいるな」
「まあそうしたところです」
根岸は天道のその問いに素直に述べてきた。
「おわかりですか、やはり」
「では誰だ」
天道は今度はそれを問う。カブトムシを手にしたまま。
「その切り札は」
「といっても切り札ではありません」
まずはそれを否定してきた。
「むしろ同志です」
「同志。それではあいつか」
その一言だけで全てがわかった。
「成程な。貴様が蘇っているということはあいつもまた」
「そうです。出番ですよ」
根岸は右に顔を向けて述べた。
「宜しいですか?」
「私の方は何時でもいい」
天道の予想通り三島であった。彼はスーツ姿で悠然とやって来た。
「既に心の準備はできている」
「やはり貴様だったか」
天道は彼を見て言う。実は天道は根岸の言葉から彼が出て来ると読んでいたのである。そしてその読みは見事に当たった。
「ひよりに用があるのだな」
「そうだ」
三島は根岸の隣に来て答える。
「どけ。貴様には用はない」
「貴様がそう言おうとも俺には用がある」
天道はそう三島に返す。
「ひよりは何があっても俺が守る。だからだ」
「そうか。ではどうしてもというのだな」
「そうだ。ではいいな」
三島も構える。だがそこにもう一人来た。
「やっぱりここか」
「加賀美か」
天道と三島はそれぞれバイクで急いでやって来た加賀美を見て言った。
「根岸、そしてあんたまで」
「貴方もわかっておられると思いますが」
根岸が彼にその笑みを浮かべて応えてきた。彼はその間にバイクを降り天道の側まで来ていた。
「我々がネイティブならば。何を考えているか」
「ひよりは関係ないだろっ」
加賀美は根岸を見据えてそう言う。
「どうしてまた」
「先程天道さんにもお話しましたが」
今度は加賀美に対して言ってきた。
「我等の女王。その方をお迎えする為に」
「ネイティブの女王だと!?」
「はい」
慇懃なまま加賀美に答える。
「そうです。それをお迎えする為に」
「どけ」
「そんなことでどけるかっ」
加賀美は意
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