第二十七話 姿が変わりその六
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「虫は」
「ああ、アニサキスな」
「あれがおるからな」
この寄生虫がというのだ。
「下手に生で食べるとな」
「危ないな」
「これはめっちゃ痛いらしいからな」
アニサキスにあたると、というのだ。事実あたると長時間に渡って腹部が激しい痛みに襲われるという。
「用心せんとな」
「あかんな」
「そやからな」
「海の幸でもやな」
「迂闊にはな」
「生で食べんことやな」
「それが第一や」
こう言うのだった。
「やっぱりな」
「ほんまな、というかケルピーを刺身で食べるか」
メルヴィルも中里を見て言った。
「その発想はないわ」
「その辺り日本人やな」
トウェインもそれはと頷いた。
「生で食べる発想がな」
「馬刺し食べるだけあってな」
「そう言ってな」
「実際にしようとするな」
「そうやな、まあ馬を食べること自体が」
トウェインはこうも言った。
「あまりな」
「ないな」
「他の国にはな」
「いや、日本ではな」
中里はまた言った、それも真剣に。
「馬刺しがあるからな」
「馬を食べるからやな」
「そうした国やからな」
「珍しくないんやな」
「元々な、それでケルピーも」
このモンスターもというのだ。
「出来るかと言うたんや」
「抵抗なくやな」
「ああ、あとステーキやハンバーグにもな」
「出来るか」
「そやろ」
「そうした発想もあるか」
「お鍋にしてもな」
この料理もというのだ。
「ええやろ」
「馬鍋ならぬケルピー鍋か」
「馬の合う連中と馬を食うと実にうまいってな」
中里は笑ってこうも言った。
「言うしな」
「駄洒落やな」
「これを言った人もおるしな」
広田弘毅という人物だ、首相を務め極東軍事裁判ではその責を感じ一言も発せず自ら死刑を受け入れた。
「馬鍋もな」
「ええか」
「それでや」
「ケルピー鍋もか」
「ええと思ったんや」
「そうなんか」
「まあ美味しい筈や」
中里はこうも言った。
「ケルビーもな」
「馬やからか」
「そやからな」
だからだというのだった。
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