第八十六話 海遊館に二人でその十一
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「それまではなかったよ」
「どの国も」
「まあ起源を言い出す国出そうだけれど」
カツカレーのそれをというのだ。
「世界的に有名になったら」
「その時はね」
「そうなるかもね」
「そうしたことする国の人達いるし」
「世界にはね」
「うちの学校の子達はしないけれど」
「そうしたことする人達いる国あるから」
それでというのだ。
「カツカレーも言い出すかもね」
「ひいてはオムライスも」
「けれど」
伊東はさらに言った。
「どれもね」
「まさにコロンブスの卵よね」
「その発想がね」
まさにそれがというのだ。
「もうね」
「中々思いつかないわね」
「それを思いつくのが」
それがというのだ。
「凄いよ」
「オムライスって大阪起源で」
「最初に考えた人はね」
「物凄い人ね」
「天才と言ってもね」
伊東はそのオムライスを食べつつ話した。
「過言じゃないよ」
「そうね」
留奈もオムライスを食べつつ頷いた。
「こんな凄いものね」
「考えだすとか」
「天才よね」
「そう言っていいよ」
「そうね、その人に感謝もして」
「オムライス食べようね」
「それじゃあね」
こう話してだった。
二人でさらに食べていった、ここで留奈はふと店の中を見回して伊東に今度はこんなことを言った。
「こうしたお店ってもうね」
「ああ、少ないよね」
「こうした内装のね」
「昭和っていうか」
「古きよき時代かな」
「あっ、その言葉いいわね」
留奈は伊東の今野言葉に笑顔で応えた。
「昭和ってね」
「もうそうなるかな」
「新幹線が走る前とか」
「三丁目の夕日の頃だね」
伊東はこの漫画も話に出した。
「もう」
「そうよね、あの漫画の頃ってね」
「まだ新幹線が走ってなくて」
「テレビも白黒で」
「冷蔵庫も洗濯機もまだ高い」
それで庶民には夢のものとされた、これはテレビも同じで高度成長と共に急激に普及していったのだ。
「そんな頃よね」
「そうだね、それで自由軒はね」
伊東はこちらの店の話もした。
「戦前の」
「昭和ね」
「丁度織田作さんが通っていた頃だからね」
「あの人昭和のその頃の人ね」
「まあこのお店もかな」
「織田作さん来てたかも知れないのね」
「自由軒にはよく行ってたそうだよ」
毎日の様に通っていたらしい、そしてこの店のカレーを食べて自身の作品にも出していたのである。
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