第二十六話 決断その十二
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小鳥を縛っていた細い縄まるで北欧神話のグレイプニルの様なそれが消えた、そのうえで小鳥は神威の前に来てだった。
彼の両手に抱えられた、神威はその彼女の顔を見つつ言った。
「よかった、後はだ」
「お兄ちゃんをなの」
「連れ戻す、それまではだ」
「私を護ってくれるの」
「そうする、封真と約束したからな」
それ故にというのだ。
「安心してくれ、じゃあな」
「うん、今はね」
「帰ろう、俺達の場所に」
「それじゃあね」
「よかったです」
護刃はほっとした顔で自分達の前に来た二人に言った。
「本当にどうなるかって」
「彼が彼のままでよかったわ」
嵐も言ってきた。
「だから運命の通りにならなかったわね」
「正直驚いています」
征一狼もほっとしていることが明らかだった。
「小鳥さんが殺されることは避けられないと思っていましたので」
「ええ、何よりのことよ」
火煉も微笑んでいる。
「最高の状況と言っていいわ」
「何奈良地の龍の人等とも戦う覚悟やったが」
空汰は今は封真を迎えている彼らを見つつ語った。
「そうならんかったな」
「そうだね、けれどどういうことなんだ」
昴流は眉を顰めさせて言った。
「運命が変わるなんて」
「おかしなことはない、運命はどうとでも変わる」
神威はその昴流に自分の考えを言った。
「何も決まっていない、決めるのは俺達だ」
「運命は決まっていないというんだね」
「俺はな、そして小鳥は生きている」
今も彼女を抱いて言う、所謂お姫様だっこの形であり左手で背中右手で膝の裏を抱えてそのうえで立っている。
「なら次は封真もだ」
「取り戻すんだね」
「そうする、そして今はな」
「帰ることになるよ」
昴流はこう答えた。
「そうなるよ」
「そうだな、ではな」
「僕達の場所に帰ろう」
「小鳥と一緒にな」
こう言ってだった。
神威は仲間達と共に小鳥を連れて漆黒の世界から元の世界に帰ろうとした。この時封真は地の龍の三人のところに来たが。
颯姫がだ、モニターから言ってきた。
「もう一人が来るまでに終わったわね」
「意外だったか」
「ええ、そのケースは稀と見ていたわ」
こう封真に答えた。
「可能性はゼロに近いとね」
「そうだったか」
「しかも貴方が妹さんを殺さない」
颯姫は封真が取った行動のことも話した。
「その可能性はゼロだったけれど」
「そう出ていてもか」
「そうなったわ、こんなこともはじめてよ」
「運命は決まっていないということだな」
封真はその颯姫に確かな声で答えた。
「だからな」
「私の予想が外れたのね」
「ああ、あんたは自分でそうなると思っていたのか」
「ビースト、私の友達のコンピューターの助けを借りてね」
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