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邪教、引き継ぎます
第一章
5.少女の提案
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 山をおり、大神殿の跡地に戻ろうとしていたフォルは、なんとなく足を止めた。
 一つ、ため息をつく。

「肩、落ちてる」

 背中からそんな声が飛んできたので、背筋を一回伸ばしてから振りむいた。

「……またあなたですか」

 そこにいたのは、肩に届かない程度の長さの銀髪に、白いマフラー。
 ロンダルキアの祠の住人、少女ミグアである。

「せっかく洗ったローブ、汚れまみれだね」
「申し訳ありません。だいぶ汚してしまいました。で、どうしてここに?」
「キミを探してた。たぶんボコボコにされたんだろなって」
「されました」
「やっぱりね」

 少女は表情を変えないまま、一つため息をついた。

「で、わたしの言ったことが本当だって、わかった?」
「はい。残念ですが間違いではなかったようです。ムーンブルク城を私たちの教団が力攻めして全員殺害してしまった話などを聞いています」
「まあ、それが一番罪が重そうだよね」

 大神殿の中のことしか聞かされていなかった・知らかなったフォルには、驚きの事実だった。放心状態になったたため、山をおりる途中の記憶が残っていないくらいだった。

「じゃあ、これからキミはどうするの」
「また『どうする』、ですか」
「考えてないの?」
「はい。まだ考えていません」
「そういう話は出なかったんだ」
「すみません、出ていたのかもしれませんが、ちょっと気が動転していたというか」

 少女は相変わらず無表情ながらも、その碧眼の光で呆れを表現していた。

「さすがお茶くみ」
「すみません」
「わたしが教えてあげる。一番いいのは、いますぐその趣味の悪い仮面とローブを捨てること」
「……」
「それで、こんな呪われた地はさっさと去って、下界の国に戻ること」
「教団の生き残りとして出頭したほうがいいということでしょうか」
「ばかなの?」
「え?」
「邪教の一員でしたとか、そんなもの、言わなければバレない。最初は移民か浮浪者のふりをして、人間の国で、普通に暮らすの」

 謎の少女ミグアの提案は、フォルにとっては意外なものだった。

「そう、ですか」
「不満なの」

 んー、と(うな)りながら、フォルは頭を掻く。

「いえ、不満というか、なんというか。少し混乱しているので、このあと一人で少し考えたいです」
「あまりフラフラしていないほうがいいと思う。たぶんキミはまだまだ危険な目に遭うことになる」
「そうなんですか?」
「うん。だからいますぐ人間の国に帰るのが正解。キミが決断さえしてくれたら、わたしが下界まで送ってあげる」

 ロンダルキアにしては穏やかな風が吹き、汚れたローブを揺らす。
 フォルは「んー」とうなり、頭を掻く。
 そしてじっと仮面を見
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