第五章
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「どうやら相手は尋常な奴じゃないからな」
「ワーム、あとネイティブですよね」
「考えたことはないか、加賀美」
田所の顔と声がこれまで以上に厳しいことになった。
「俺達が戦う原因にあったあの渋谷の隕石のことを」
「あの隕石ですか」
「そうだ、何故落ちたのか。誰が落としたのかをな」
「落としたってまさか」
加賀美はその言葉を聞いてはっとした。それはこれまで誰も考えたことのない、それでいてこの戦いの核心となるものであったからだ。今それに気付いたのだ。
「そうだ、その謎も明かされるかも知れない。ワーム、ネイティブの戦いを裏から操っていた存在もな」
「何か話がとんでもない方向にいってるみたいなんですが」
「とんでもないさ」
田所はそれを聞いて言う。
「俺達ネイティブの生まれ自体がな。あの隕石からだからな」
「まあそうですよね」
「根岸も三島もそれについては知らなかっただろうがな」
「あいつ等でさえ」
彼等ですら知らない問題だった。加賀美はそのことを聞いて話がかなり大きなもので、しかも深いものであるということを確かめるのだった。
「知らなかったことを」
「終わらせたいな、加賀美」
田所はまた加賀美に問う。
「これで」
「そうですよ。あれでやっと終わったと思ったのに」
「そう思いたいがな。しかし」
「しかし。何かあるんですか?」
「いやな。実はだ」
ここで田所の顔が暗くなる。まるで何かを予感したかのようにだ。
「コーカサス、ケタロス、ヘラクスの開発は総監の命令だ」
「親父・・・・・・いや総監の」
言うまでもなく加賀美の実父加賀美陸である。彼はゼクトの最高責任者であると共に警視総監でもあるのだ。実は元々警察の人間ではない。これは前の警視総監である本郷猛も同じである。だがかなりの実力者であるのは確かなのだ。
「直接の指示で」
「ボードとな」
田所はまた述べる。
「そうしてボードの三人の仮面ライダーも開発された。ゼクトの三人と同じく」
「それだけ大掛かりな相手ですか?ワームやネイティブの残党が」
「わからん。だがそんな気はする」
「何か話がわからなくなってきたんですけれど」
「安心しろ、俺もだ」
田所の返事は今の彼の置かれた状況を何よりも雄弁に物語っていた。彼もまた何もわかっていないのである。そうした意味で彼も加賀美と同じだったのだ。
「わかっていることがあまりにも少ない」
「ボードのライダーと協力してやるってことは決まってるんですよね」
「ああ、既にあちらは準備ができている」
田所は加賀美に述べる。
「皆な」
「そうですか。じゃあ挨拶は」
「これからだ」
田所はまた述べた。述べながら加賀美と三人に声をかける。
「今からボードの本部に向かう。いいな」
「はい」
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