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ハッピークローバー
第八十六話 海遊館に二人でその五

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「中に具を入れるのもね」
「好きなんだ」
「特に梅干しが」
「ああ、梅干しいいね」
「梅干しも好きで」
 留奈はそれでと話した。
「実はそれぞれのお握りの中に一つね」
「梅干し入れてるんだ」
「今僕食べてるのの中にはね」
「何も入ってないでしょ、六つのうちの一つにね」
「梅干し入れたんだ」
「そうなの、他の五つはおかずで食べて」
 そしてというのだ。
「それで残る一つはね」
「梅干し入ってるんだ」
「そうなのよ」
「それは楽しみだね、僕梅干し好きなんだよね」
「そうなの」
「何かおつまみにもいいっていうけれどね」 
 酒のそれにというのだ。
「織田信長さんもお食事の時最初は梅干しだったらしいし」
「そうだったのね」
「最初に梅干しを食べて」
 そうしてというのだ。
「種を左手の平にぺっと吐き出してから」
「ご飯食べてたのね」
「いつも梅干しと焼き味噌を食べてたらしいよ」
「塩分高そうね」
 そう聞いてだ、留奈は思わず言った。
「それだと」
「ああ、確かにね」
 伊東も言われて頷いた。
「梅干しにお味噌だとね」
「そうよね」
「今思うと高血圧が心配だね」
「塩分摂り過ぎでね」
「実は気の長い人だったらしいけれど」
 創作では短気であることが多いがだ。
「高血圧はね」
「心配よね」
「それでおつまみにしていたのは上杉謙信さんで」 
 梅干しをというのだ。
「この人毎晩飲んでいたからね」
「お酒大好きだったのよね」
「このこと有名だからね」 
「新潟の子皆言うしね」 
 その上杉謙信の地元である。
「謙信さんって無類の酒好きで」
「毎晩飲んでいてね」
「おつまみはね」 
 酒のそれはというのだ。
「梅干しとかお味噌とかお塩で」
「それで血圧高くて」
「脳出血でお亡くなりになったんだよね」
「糖尿病ってお話もあったのよね」
 当然毎晩の深酒の結果である。
「一回脳梗塞か何かで倒れて」
「最期もね」
「お酒のせいね」
「お酒も危ないけれど」
 飲み過ぎはというのだ。
「塩分の摂り過ぎもね」
「よくないわよね、だから私もね」
「そこは気を付けてるんだ」
「他のおかずも塩分あるし」
 それが含まれていてというのだ。
「梅干しはそれが強いから」
「それでなんだ」
「一個だけにしたの」
「そうだったんだ」
「ご飯を入れる時も」 
 時間がなくというのだ。
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