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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第161話:その身に流れる血を誇りにして
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トロ達も思わず口を挟めなくなるほどに。
「やって見せるさ。そうする必要があるのなら、俺は幾らでも奇跡を起こす」
「その根拠は?」
「誇りだ。父さんの息子である事の誇りに懸けて……」
誰も、何も言えなかった。普段他人を小馬鹿にしたカリオストロとプレラーティですら、思わず飲まれてしまう程の強い信念を彼からは感じた。自分達に比べて圧倒的に若い、子供と称する事すら笑ってしまう程の年数しか生きていない颯人の抱く信念に、悔しいが2人は気圧されるものを感じてしまったのである。
颯人とサンジェルマンが暫し見つめ合う。どれ程の時間が経ったのか分からない。体感1時間近い気もするが、実際には数分と経っていないような気もする。
時間の流れが分からなくなるほどの緊張感を、先に破ったのはサンジェルマンの方だった。
「ふぅ……」
小さく溜め息を吐き方から力を抜く。それだけで彼女が纏っていた緊迫した空気が霧散していった。そして今一度彼女が颯人を見る時、その目には先程とは違う優しさが見え隠れしていた。
「本当に……君はお父上によく似ているわ」
「そう?」
「えぇ……残念ね。君には、理解してほしかったけど――」
残念そうにしているが、同時に何処か嬉しそうにしているサンジェルマン。颯人が期待通りの人間だと言う事が分かって満足しているような感じだった。
その事に隣で様子を見ていたカリオストロが思わず食って掛かろうとした、その時である。
「サンジェルマンッ! いい加減に――ッ!? あの光ッ!?」
突如頭上から降り注いだ眩い光にカリオストロが上を見れば、そこには一番星と言うには明るすぎる光の珠の様な物が浮かんでいた。
それが何なのかを知るカリオストロ達は、顔に焦りを浮かべずにはいられなかった。
「くッ――統制局長、アダム・ヴァイスハウプトッ!? どうしてここにッ!?」
そこに居たのは1人の男。片手に光の珠を携えて宙に浮かぶ白いスーツ姿の男がそこに居た。
アダムと呼ばれたその男は、眼下に広がる景色を見下し、その中に颯人の姿を見ると狙いを定める様に目を細めた。
そして…………周囲は眩い光に包まれ焼き尽くされた。
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