暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第161話:その身に流れる血を誇りにして
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か思わず一歩前に出ようとした。だがそれをサンジェルマンが宥め、颯人に対しても諭す様に答えを口にした。
「誰かを苦しめる? いいえ、違うわ。積年の大願は人類の解放。支配の軛から解き放つ事に他ならないわ」
サンジェルマンの言葉に、そう言えば以前バルベルデで世界革命だ何だと言っていた事をガルドは思い出す。だが正直、現時点ではそんな事言われても納得できないし何も分からない。
それもあるが、何よりも颯人にとって見過ごせないのはサンジェルマン達が既に善行とはかけ離れた事に手を染めている事にあった。
颯人は耳の穴を小指で穿る仕草をしながら、サンジェルマンの言葉に何の感慨も受けていない体を装って反論した。
「ほ〜ん? え〜っと? 確か七万三千……あ〜、七百九十……幾つっつたっけ?」
「七万三千七百九十一よ」
「あぁ、そうそう。それ、アンタらが今まで犠牲にしてきた人数なんだろ?」
「そうね。革命の為の、尊い礎よ」
次の瞬間、一発の銃声が辺りに響き渡った。銃声の発生源は颯人の持つウィザーソードガン。彼はサンジェルマンが言葉を口にした瞬間、素早く銃口を向け彼女の髪を掠める位置を狙って引き金を引いていた。
硝煙を上げる銃口を向けられ、髪の毛先が僅かに焦げた事も気にせずサンジェルマンは仮面のP区から向けられる颯人の視線を受け止める。隠れて見えないが、彼の目がこれ以上ない程冷たくなっている事に彼女は気付いていた。
「言葉を飾ってんじゃねえよ。俺にんな事に加担しろって? 冗談じゃねえ。そんなことしたら最後、俺は奏にどの面下げて会えばいいんだ?」
どれだけ美麗な言葉を並べ立てようと、今までサンジェルマン達が犠牲にしてきた人々がそれで納得する訳がない。そりゃ確かに、中にはどうしようもない悪党も居たのかもしれない。100人が100人、死んだ方が良いと口を揃える極悪人もその中には混じっているかもしれない。今までサンジェルマン達が犠牲にしてきたのが、どのような人々だったのかを彼は知る由も無かった。
だがそれを抜きにしても、他人の命の上に足を乗せて事を成し遂げる事を誇るような人間になる気も、それに加担する気も彼には無かった。
「俺を誰だと思ってるの? 奇跡の手品師、明星 輝彦の息子だよ? 人々を笑顔にする男の息子が、人々から笑顔を奪う様な事に加担したら、俺は俺でなくなる。そんなの真っ平御免だね」
「そうする事で、多くの人々が救済できるとしても?」
「救済の形は1つじゃない筈だ。俺は千に一つ、万に一つの可能性だとしても犠牲が一番少ない方法を選ぶ」
「それが本当に可能だとでも……?」
「出来る」
静かに、だが力強い言葉で颯人は返した。その言葉には、熱いハートが籠っていた。カリオス
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