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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第161話:その身に流れる血を誇りにして
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れるが、今回はその肝心のウィザードギアを使わないつもりらしいと言う事に僅かな落胆を抱かないでもなかった。
戦場を静かに見下ろすサンジェルマンの様子を、両隣から同僚が見やり声を掛ける。
「な〜に? サンジェルマン、またあの子探してるの?」
「そう言えば、今回はあの小僧共出てきていないワケダ。大方私達が別口から襲撃を掛ける事を警戒しているのか……」
「どちらかと言えば、レンの方を警戒しているのでしょう。あの後結局逃がしたらしいし」
そうぼやいたサンジェルマンは、2人からは見えないように拳を強く握りしめた。先日、颯人が窮地に陥った時何も出来なかった事を彼女はまだ悔いているらしい。
その事を振り払う様に軽く頭を振ると、気を取り直す様に小さく息を吐いて懐から凝った装飾の不倫とロックピストルを取り出した。
「さ、無駄話は終わりにしましょう。この手に赤く輝く勝機、見せてあげましょう」
サンジェルマンがピストルを取り出すと、それに倣う様にカリオストロとプレラーティも何かを取り出した。カリオストロは指輪、プレラーティはカエルのぬいぐるみの中からけん玉を取り出す。大きさも形状も違うものを取り出した3人だったが、唯一共通しているのはそれらすべてに赤いハート型の宝石の様な物が組み込まれている事だった。
サンジェルマンはピストルの引き金を引き、カリオストロは指輪を左手中指に嵌め、プレラーティはけん玉を胸元に掲げた。
するとその瞬間ハートの形をして宝石から赤く眩い光が放たれ、その光が3人の体を包み込んだ。
例えアルカノイズとの戦闘中であっても、そんな光が放たれれば流石に奏達の意識もそちらに向く。4人は戦闘を思わず中断し、その光の発生源へと目を向けた。
「なッ……あれはッ!」
赤い光が徐々に収まっていき、3人の姿が見えるようになってくると翼達は思わず息を呑んだ。そこに居たのは、特徴的な服装をした3人ではなくどこかシンフォギアと似た鎧とも言えるものを身に纏ったサンジェルマン達の姿であった。
錬金術師でありながらシンフォギアに似た装備。それに奏達は思い当たる節があった。
「まさか――ファウストローブッ!?」
「遂に出してきやがったか……!」
先の魔法少女事変に於いて、奏達はダウルダブラのファウストローブを纏ったキャロルを相手に苦戦を強いられた。あの3人が纏っているファウストローブが、それと同等の性能を持っているとは考えたくないが、しかし劣っていると考えるにはその輝きはとても眩しかった。
知らず、奏は自分でも気づかぬ内に胸元で拳を握り締めていた。
「ノイズばっかで飽き飽きしてたところだ、相手になってやるッ!」
一方クリスはそんな奏に対し、既にやる気満々と言った様子だった。
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