暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第161話:その身に流れる血を誇りにして
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 それを察したアルドは、溜め息を吐くと懐中時計を取り出し今の時間を見てからその場を離れた。

「……そろそろいい時間です。軽食の用意をしますので、ガルドはここを頼みますよ」
「食事なら俺が……」
「いえ、あなたも休息すべきです」

 有無を言わさずこの場に残らされ、ガルドは持ち上げかけた腰をソファーに下ろした。そして寝ている颯人と俯いている透を交互に見て、彼も疲れを吐き出す様に息を吐いた。









 その頃、トレーラー内の大型モニターの前ではあおいと了子、そしてエルフナインの3人がコンソールと睨めっこしていた。現時点でまだ暗号解読は終わっておらず、結果を待つしかない今彼女らに出来る事はデータの解析などだった。

 そんな彼女らに、調達が差し入れでコーヒーを持って来た。

「友里さん。あったかいもの、どうぞ」
「デース」
「あったかいものどうも。何だか何時もとあべこべね」

 普段はあおいが適温にしたコーヒーなどを差し入れるのが普通だったので、こうして誰かに彼女が差し入れしてもらうと言うのは非常に珍しい。最近では、初めて颯人が二課本部を訪れた時くらいだろうか?

 あおいが調からコーヒーを受け取っている横では、了子にはマリアが、エルフナインにはキャロルがそれぞれコーヒーを差し入れていた。

「あなたにも」
「あら悪いわね」
「ん」
「ありがとう、キャロル」

 エルフナインはともかくキャロルまでもがこの場に居るのは、偏に彼女の身の安全を考えての事でもあった。生ける屍同然のハンスは強固な結界を張っておけば問題ないが、自分の意志で動けるキャロルはそうもいかない。かと言って彼女までハンスと同じ結界の中に押し込む訳にもいかないので、結果的にこうして連れ歩くのが一番安全と言う結論に達した。
 少なくとも目の届く範囲に置いておけば、何か異常があった時すぐに対処できる。

 マリアは了子にコーヒーを渡す傍ら、彼女の前にあるコンソールを覗き込んだ。

「調べ物、順調かしら?」

 何気なく気になったから程度の理由でマリアがコンソールを覗き込むと、そこに映っていたのは複数人の見知った服装の、見覚えのある顔立ちの少女達だった。

「これ、もしかして――」
「ゴメンね、嫌な物見せちゃって。本当の意味での改良型LiNKERの完成の為には、必要だと思って……」

 未だ難航しているLiNKERの改良。ウェル博士の研究から何かヒントが得られないかと思い、嘗てのF.I.S.のデータを閲覧しているのだがその結果は芳しくない。
 それどころかマリア達に嫌な事を思い出させてしまった事に対して、了子は申し訳ないとすら思っていた。

「私達の忌まわしい想い出ね……。フィーネの器と認定されなか
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