悪
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アアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ハルトの咆哮。そして、変わっていく。
人間の、道具の使用に特化した手が、爪が伸び、狩りを目的とした剛腕に。
足が、直立歩行のものより、膝を落とし、重量を支えることを目的とした柱に。
背中を突き破る、雄々しくも美しい翼と、その下にともに現れる尾。
そしてハルトの顔は、人間の平べったいものより徐々に尖り始めていく。口は伸び、目は吊り上がり、そしてその頭部には角が生えてくる。変わった頭部を支えるように、その首は長く伸びていく。
「ラアアアアアアアアアッ!」
それはまさに、神話の時代より蘇ったドラゴン。
その正体は。
「ウィザード……貴様まさか、ファントムそのものだったというのか……!?」
「ハルトさんが……ファントム……?」
可奈美が細目で呟く。だが、締め上げる首により、やがてその体がだらんと力を失った。
そしてファントムは……ハルトは……
「ええいっ! だが、所詮はファントム! 一体増えたところで、こちらにはウィザードがいる! やれ!」
アマダムの命令に従い、フレイムスタイルのウィザードは即座に魔法を発動させた。
『チョーイイネ キックストライク サイコー』
ハルトが、数多くのファントムを屠って来た炎のキックストライク。
足元に赤い魔法陣を浮かべて放たれる、ストライクウィザード。これまでの実績から、それはハルトが変身したファントムを一撃で葬ることが出来るだろう。
だが。
ハルトだったファントムの背中の突起が、赤く輝く。あたかも火山が噴火するように、熱エネルギーを溜めていくそれは、やがてそのドラゴンの口元にも熱エネルギーが溜まっていく。
そして、口から直線状に放たれるのは、熱エネルギーを直線にした光線。
それは、ストライクウィザードごと、火のウィザードを爆発させる。
爆炎の中から零れ落ちる、ルビーのウィザードリング。
だが、ハルトはその回収よりも先に、残りのウィザードたちを蹴散らすことを優先した。
赤い双眸が、向かってくる三人のウィザードを捉える。
その足が、地面を砕き。
雄々しき尾が、その体を支える錘となり。
再び、背中の突起が赤い光を放つ。すると、周囲の大気がその熱によって揺らぎ、ハルトが立つ地表が溶けだしていく。
そして。
放たれる放射熱線。それは三人のウィザードを一瞬で飲み込み、蒸発。もとの指輪に戻してしまう。
次の狙いは、アマダム本体。
「があああああああああああああああああああああああッ!」
ゆっくりと振り向いたハルトは、咆哮を上げる。
「がはっ!」
胸を貫いた、アマダ
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