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イベリス
第百七話 秋がはじまりその六

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「どうもね」
「そうなんですね」
「その辺りよくわからないけれど」
「女の人でも魔術師になれるんですね」
「そう、それで男の人でも魔女になれるらしいわ」
「男の娘でしょうか」
「だから私その辺りはよくわからないの」
 先輩はこう答えるばかりだった。
「ランクとかそんなのかも知れないけれど」
「兎に角あの人は魔術師ですか」
「そうなのよ」 
 咲にこう言うのだった。
「それであの人も時々ね」
「お店を出てですか」
「何処かでお仕事をされているらしいわ」
「そうなんですか」
「うちの店長さんと一緒でね」
 それでというのだ。
「そうみたいよ」
「そうですか」
「何でもお二人は知り合い同士で」
「あっ、それ聞いたことがあります」 
 咲は先輩のその話にはっとした顔になって応えた、実は彼女も速水についてある程度聞いているのだ。
「学生時代から」
「高校は咲っちの言ってる学校の本校みたいね」
「八条学園の神戸の方ですね」
「高校で知り合って」
「それからですね」
「今も縁があるみたいよ」
「そうみたいですね」
「店長さんは占い師になって」
 タロットのそれにというのだ。
「あの人は魔術師よ」
「何かファンタジーなお仕事ですね」
「お二人共ね」
「店長さんって何処か現実離れしてますし」
「そうそう、ミステリアスよね」
「そんな魅力が凄いですね」
「ただ美形なだけじゃなくてね」
 先輩も言った。
「そうなのよね」
「そうですよね」
「それであちらの店長さんもね」
 魔術師と自称している彼女もというのだ。
「お名前は松本紗耶香さんね」
「お名前も奇麗な感じですね」
「あの人も凄い美人さんなのよね」
「モデル並だそうで」
「背が高くてスタイルも抜群でね」
「私ちらっとお姿拝見した記憶がありますが」
 咲はここでこう言った。
「一度か二度」
「そうなの」
「黒いスーツが似合っていて」
「ズボンのね」
「滅茶苦茶美形だったと」
 その様にというのだ。
「覚えています」
「咲っちが覚えている通りよ」
「やっぱりそうしたですか」
「凄い美人さんで道玄坂の魔法のアクセサリーショップに行けばね」
「そこにですか」
「普段はね」
 その店から見てというのだ。
「あの店長さんが特に何もない時はね」
「おられるんですね」
「だからね」
 それでというのだ。
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