全力を打ち砕く者
[7/7]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
を高めていく。
「ほぅ。これはこれは・・・」
これから放たれる一撃に全てを賭けようとしているのはこの場にいるすべての人間がわかっていた。そしてその殺意が向けられているはずの男もそれを理解すると、閉じられていた口が緩み、口角が上がる。
「「うおおおおおお!!」」
アイコンタクトもなしに二人が息ピッタリで飛び込んでいく。そのスピードは彼らから目を離さないようにしていたはずの観客たちですら視認が遅れてしまうほどに速かった。
「雷汞・?御雷!!」
「破邪顕正・絶天!!」
赤い雷を纏った拳を義手を強く握り締めた渾身の拳。左右から迫ってくるそれにスカイシーは回避行動を取ろうともしない。
「そうだ・・・それでいい」
最強ギルドにおいて最強と語られ続ける二人の魔導士。その一撃が迫ってきているにも関わらず、彼は焦りなど一切なかった。
「そうじゃなければ、お前たちを引きずり出した意味がないのだから」
むしろその一撃を待ち受けていたような、望んでいたような反応を見せた彼は二人の拳を掻い潜るように両方の手で拳を握り締め、それを振り上げる。
「まぁ、それも俺が粉砕してやるだけなんだか」
一切の予備動作もなく、ましてや両手を同時に振り上げたことにより威力は本来のアッパーパンチよりも落ちているのは言うまでもない。それなのに、渾身の一撃を打ち出してきた二人を彼はあっさりと宙へと打ち上げた。
『え!?』
『なっ・・・』
『ウソッ!?』
これには実況席の三人も何が起きたのかと困惑を隠せない。無防備に宙を舞う二人の身体。スカイシーはそんな二人の真上に飛び上がると、二人の顔面へとそれぞれ足を踏み出し、その勢いと重力を生かして地面へと叩き付ける。
「これで終わりだ」
砂煙が舞い上がりしばらくした後、徐々にそれが晴れていく。そこから出てきたのは全身血塗れになり白目を向いている二人の妖精と、彼らに背を向けすでにその場を後にしようとしている仮面の男の姿だった。
『しょ・・・勝負あり!!勝者!!狩猟豹の頭!!』
決した戦い。それを見届けた観客たちは歓声とどよめきに包まれていた。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ