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俺様勇者と武闘家日記
第3部
ルザミ
ナギの夢
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ろう。
 べしっ。
「おいバカザル。とっとと自己紹介したらどうだ?」
 ナギの後頭部を平手で叩きながら、不機嫌そうな顔で嫌みを言うユウリ。
「うるせえ! お前に言われたくねーよ!」
 ユウリに促され、いつものようにナギはケンカ腰で反応する。その様子を、フィオナさんは一瞬吃驚しながらも、微笑ましそうに眺めていた。
 そんな中、一番若い島の男性が、さっきから無言でナギの方をじっと見つめている。流石のナギもそれに気づいていたのか、躊躇いつつもその人に声をかけた。
「あの、何かオレに用?」
「あ、いや、その、なんか不思議な感じがしてね」
 何のことかわからないナギは、それでも何か言いたげにナギを見ている彼に戸惑いを隠せずにいる。それに気づいたフィオナさんが立ち上がり、男性のそばまでやって来た。
「ナギ。この人は昔ゴーシュが助けた子供だ」
「えっ!?」
 海賊だったゴーシュさんは、海でおぼれた子供を助け、そのまま帰らぬ人となったと聞いた。その子供がこの男性だという。
 男性は決まり悪そうに、自分から名乗り始めた。
「初めまして、おれはパトル。小さいころ、君のお父さんに助けてもらったんだ」
 よく通る声で話すパトルさんに対しナギは、
「別にオレには関係ないし……」
 そうぶっきらぼうに答えるしかなかった。
「いや、改めて礼を言わせてくれ。あのとき君のお父さんに気が付いてもらえなかったら、おれはこの世にいなかったんだ。それに、おれのせいでゴーシュさんは……」
「パトル! その言い方はやめなって言っただろう?」
 ぴしゃりとフィオナさんがそう言うと、パトルさんは慌てて口を噤んだ。
「まったく、ゴーシュはそんなこと気にする性格じゃないんだよ。ナギも、あんまりこの子を責めないでくれないか? なにしろこの子が溺れたのはまだ言葉もろくに話せないほど幼かったんだ」
 パトルさんをかばうフィオナさんを見て何を思ったのかはわからないが、ナギはどこか他人事のように彼らを見返した。
「オレにはそんな権利ないよ。何しろ今まで親父の存在すら知らなかったからな」
 そう答えるナギに対し、パトルさんはハッとした顔をした。
「……そうか。君も、いろいろと苦労をしてきたんだね」
 そう言うとパトルさんは、自分が手にしている液体入りの瓶をナギに差し出した。
「よかったら、一緒に酌み交わさないか? 島に数年ぶりのお客さんが来たって聞いて、家からとっておきの酒を持ってきたんだ」
「え、でもオレ、あんまり酒飲んだことないけど」
「ナギちん! パトルさんがせっかくそう言ってるんだから、ここはお言葉に甘えようよ!」
 二人の間に割って入ってきたのは、シーラだった。
「お前……、自分が飲みたいだけだろ……」
 呆れたようにシーラを見返すと、ナギはパトルさ
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