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邪教、引き継ぎます
第一章
4.デーモン族の山
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と向かい合うかたちとなった。

「私は族長代行だ。手荒なことをしてしまい申し訳なかった」
「俺は代行の代行だ。代行のおかげで命拾いしたな。感謝しろよ」

 態度が対照的な二人。
 この代行の代行は、先ほどフォルと一番先に対面し、腹部に拳を見舞ってきた者である。いまだその眼光が険しい。
 代行はフォルの持つ杖を見た。

「それは……。悪魔神官ハゼリオ殿が持っていた杖か」
「はい。ご遺体のそばに落ちていまして」

 自分もハゼリオとともに戦うつもりだったが、それを許されなかったこと。戻ってきたときには神殿が全壊し、死屍累々だったこと。よって自分はおそらく神殿唯一の生き残りであること。
 フォルは把握していることを簡単に説明した。
 代行はうなずきながらそれを聞いていた。すでに受けていた報告と頭の中で照合していたのかもしれない。

「なるほどな。そなたも大変だったな」

 そう穏やかに言うと、代行は続けた。

「だが、人間の若いの。たしかに我々はハーゴン殿に言われて教団に協力していたが、大神殿で討ち死にした族長をはじめ、これまでに多くの仲間が殺された。ハーゴン殿が討たれ、破壊神すらも討たれ……教団が崩壊した今、結果だけ見れば、我々は人間同士の争いに巻き込まれ莫大な被害を出した事実しかない。憤懣(ふんまん)やるかたないという者が我々の中にもいるということを理解してもらえると助かる」
「そうだ! ふざけるな! 何が理想の世界を創るだ!」
「やめろ。この者に言ったところで意味はない」

 怒鳴る代行の代行を、代行はため息をつきながら制した。
 そしてフォルもようやく理解した。

「あ、いえいえ。実はそういうのは全然考えていなくて。いま教えてもらえて初めてわかりました。たしかにアークデーモンの皆さんにとってはそのとおりですよね。申し訳ありませんでした」

 フォルは素直に思ったことを返し、頭をぺこりと下げた。
 代行の代行がふんと鼻を鳴らし、代行に目で咎められている。

「さて、では用件を聞こうかの。ここまで来たということは、何か用があってのことだろう?」
「はい」

 フォルは二人を見て、言った。

「一つ、お聞きしたくて」
「ほう、何かな」
「私たちは、いきなり下界の人間に大神殿に乗り込まれて全員虐殺されるような、そんな仕打ちを受けてしまうに値するような教団だったのでしょうか」

 その問いに、アークデーモン二人は固まったように見えた。
 数秒の静寂を破ったのは、代行の代行だった。

「何を言い出すかと思えば。ふざけたこと言ってんじゃねえよ!」
「やめろ。本人は真面目に質問しているようだ」

 近くにあった灯りの炎が激しく揺れる。
 立ち上がってフォルに詰め寄ろうとした代
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