第2幕:大義無きルール違反
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こいつらの侮辱罪を見逃せと言うのか!?そんな!出来ぬ!出来る訳無いだろ!アニアーラ管理委員会の威信と沽券に関わるー!」
ツルギが再び溜息を吐くと、仕方ないとばかりに口を開いた。
「面白い話をしましょう。マヨネールさんと一緒に観た、あるホラー映画の話を」
ツルギが口にした名前に驚きを隠せないウミギ。
「マヨネールだと!貴様!火星居住者か!?いや!それだけではマヨネールにそこまで近付けない筈!貴様!何者なんだ!?」
それは、明時14年の半年戦争開戦直前の出の出来事。
後の火星粛清反対派最高指導者となる当時アニアーラ管理委員会傘下軍隊中佐のマヨネール・コーアが、クズワンのドライバー達を集めてある映画を観せていた。
その映画の名は……『食人族』。
ドキュメンタリー制作の為にアマゾン川上流の“グリーン・インフェルノ”と呼ばれる密林地帯に向かった4人のスタッフが原住民の襲撃を受けて食い殺されると言うセクスプロイテーションホラー映画である。
映画の中で何度も繰り返される殺戮シーンに目を背ける者も多く、当時13歳だったツルギも恐怖で体が動かなくなってしまった。
「大丈夫なのかい?大事を行う前にこんなグロい映画なんか観せて?」
無論、ただ味方の士気が下がるだけならこんな事をしなかっただろう。だが、4人のスタッフが原住民の襲撃を受けて食い殺される理由こそが、マヨネールがこの映画を観せた本当の目的であった。
「で、君達はこの作品の悪役はどっちだと思う?」
「この映画の……悪役?」
そう言われ、思い出したくも無いが食人族の内容を思い出す。そして、その内の1人がある事に気付いた。
「つまり、先に攻撃したのは4人の撮影スタッフの方!?」
マヨネールは満足そうに首を縦に振る。
「ん!彼らこそ、自分勝手な理由で原住民の掟を次々と破り、原住民達の平和を乱した者達。故に、撮影スタッフの味方である筈のモンロー教授は最後に『真の野蛮人はどっちなんだろうな?』と言ったんだ」
確かに、4人の撮影スタッフ(の内2人)が原住民達への性的暴行や放火などの傍若無人の限りを尽くした結果、原住民達は激怒して4人の撮影スタッフを食い殺した。『食人族』と言う映画はそう言う内容だ。
だが、まだ真の意図が読めない者も多い。
「それは解りましたが、それとこれから起こると予想される大事との関係は?」
その質問を聴いたマヨネールの目に決意の炎が宿る。
「つまり、外から来た撮影スタッフこそが『大義無きルール違反』を犯した大罪人であり、中に居た原住民達はそんな『大義無きルール違反』を犯した撮影スタッフの罪を裁いただけなんだ」
そして、改めて火星粛清反対派の戦いの意義を言い放つ。
「そう!私達は侵略者ではない!自分達の掟を護る為に戦う……大義に準じた原住民なんだ!」
が、マヨネー
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