第2幕:大義無きルール違反
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ツルギと館長はお互い自己紹介をしていた。
「カッオ・ルーさん……で、良いんですよね?」
「はい」
ツルギは館長の本名に少しだけ引きつつも質問を辞めなかった。
「で、何で反戦を目的とした戦争博物館を?」
カッオは少し困惑するも、意を決して話し始めた。
「知名度は10年前の半年戦争より大幅に少ないですが、30年前のアルテミスムーン小壊騒動を知ってますか?」
ツルギは困り果てた。
正直言って知らないからだが、それを正直に言える雰囲気ではない気がしたのだ。
「お気になさらず。ツルギさんはまだ23歳ですし」
「あ、ごめんなさい」
そこで、カッオはアルテミスムーン小壊騒動を軽く説明した。
当時のアニアーラ管理委員会に反論する一団が、月面にあるクレーターを利用して建設された6つのドーム都市の1つである『アルテミスムーン』に隠れ住み反乱計画を着々と進めていたが、罪悪感に苛まれ刑期半減に目が眩んだ一部のメンバーが管理委員会に密告した事で先手を盗られ、居住区に悪影響を及ぼす程の激しい戦闘の末に一団は壊滅。密告者達は既に刑期を終えて出所している反面、首謀者達は戦死、終身刑、拷問死、絞首刑などの悲惨な目に遭ったのだと言う。
それを聞いたツルギは、少し考えたうえである質問をした。
「……で、先に向こうの掟を破ったのはどっちなの?」
「……どう言う意味ですか?」
ツルギの目は無意識に鋭くなっていった。
「つまりですね、管理委員会が先にテロ組織側のルールを破ったのか?それとも、テロ組織が先に管理委員会側のルールを破ったのか?」
カッオは俯きながら答えた。
「奴らが……奴らが管理委員会を怒らせたんた!」
その声に怒気を感じたツルギは、直ぐに話を打ち切った。
「止めようか?辛いんでしょ?」
ツルギの優しい視線にカッオは言葉が詰まる。
「……ツルギさん……」
そして、ツルギはカッオに背を向けた。
「明日の仕事も大変そうなんで、今日はもう寝ます。おやすみなさい」
そのまま立ち去ろうとしたツルギだったが、ツルギは一旦停まって一言告げた。
「少々とは言え、アルテミスムーンのマンションエリアを壊したんですよね?なら、その戦いで死んだ人がいるって事ですよね……」
そう言い残すと、ツルギは眠りに行った。
1人残されたカッオはツルギの苦悩の一端に触れた気がして後ろめたい気がした。
次の日。
ツルギとカッオは夕飯を買う為にショッピングモールエリアに向かっていた。
そこへ、1人の男性が話しかけてきた。
カッオは何故か身構え、ツルギはそんなカッオの動揺に何かを感じていた。
しかし、男の目的はツルギの方だった。
「よお。久しぶりだなぁ」
男性の正体に気付いたツルギは驚きを隠せなかった。
「あー。私のアルバイト代をむしり取りに来たの
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