狭間-4
[8]前話 [2]次話
段々と潮が引いていって、陸が現れる。
……そこでなんとなく、この風景の"終わり"を感じた。
また、風景が変わった。
冷たくなってきた風が、木の葉を揺らして向こうのほうへ駆け抜けていく。
今度の景色は、紅葉が美しい山。おそらく、登山道だろう。
ヒラヒラと舞い落ちてきたもみじをつかまえて、私は力なく笑った。
「みんながお母さんやお父さんと旅行に行ってるのに、私だけ行けなくて……ここにも、一人で来たんだよね」
母を亡くして、父は壊れた。そんな現実から逃げ出したくなって、初めて一人で来た場所。
でも、周りの楽しそうな声を聞いて、結局この場所を楽しむことはできなかった。
「……こんなに綺麗なのに。あんなに、いろいろな場所に連れていってもらって、風景の楽しみ方を知ったのに……結局、忘れてしまうなんて」
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ