第八十五話 兄に言われてその九
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「いいな」
「ええ、ゴム位はね」
「持っておけよ」
「そうするわね」
兄とこんな話をしてだった。
留奈はこっそりとそちらを自分のバッグそれに財布に忍ばせた。その後で伊東と話したが彼は留奈にこう言った。
「夏休み終わる前に何処か行かない?」
「デートね」
「うん、どうかな」
「いいけれど」
使うかもと思いつつだ、留奈は問うた。
「何処にするの?」
「水族館どうかな」
「水族館ってうちの学園の?」
「いや、海遊館だよ」
そちらだとだ、伊東は答えた。
「あそこにね」
「ああ、海遊館ね」
「どうかな」
「私結構ね」
海遊館と聞いてだ、留奈は笑顔で答えた。
「あそこ好きなのよ」
「そうなんだ」
「子供の頃から何度か連れて行ってもらってるのよ」
笑顔のままさらに言った。
「お父さんとお母さんにね」
「そうなんだね」
「じゃあね」
「うん、行こうね」
「暫く振りね」
留奈はこうも言った。
「そう思うと嬉しいわ」
「あそこいいよね」
「天王寺動物園もいいけれどね」
「留奈ちゃんあそこも好きなんだ」
「基本動物好きでね」
それでというのだ。
「そうした場所がね」
「好きなんだね」
「そうなの、じゃあね」
「うん、海遊館行こうね」
「そうしましょう」
「あそこに行って」
伊東はさらに言った。
「色々な生きもの観ようね」
「お水のね」
海のものだけでなくというのだ。
「色々ね」
「そうしようね」
「それとね」
「それと?」
「何か食べましょう」
こう伊東に提案した。
「美味しいものね」
「ああ、それじゃあね」
そう言われてだ、伊東はこう答えた。
「難波に行く?」
「あそこで食べるの」
「そうしない?帰りに」
「海遊館で食べてもよくない?」
「あっちでも食べて」
そしてというのだ。
「それで帰りにもね」
「難波で食べるの」
「うん、オムライスをね」
「ああ、オムライスね」
「あれで美味しいお店あるんだ」
「何処?そのお店」
「千日前の方にある自由軒の近くの」
カレーで有名なこの店の名前を出した、織田作之助の代表作夫婦善哉に出ていることでも知られている。
「洋食屋さんでね」
「ああ、あそこ?」
留奈は自由軒と聞いてすぐに言った。
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