第七幕その七
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「よくならんとな」
「駄目だね」
「全くじゃ」
こう言うのでした。
「それでよくなっておるのなら」
「いいね」
「うむ、そしてな」
秀吉さんはこうも言いました。
「人にはな」
「笑顔になってもらうだね」
「それがじゃ」
まさにというのでした。
「人としてよいことであるな」
「いいことをしてね」
「そしてな、この街はお笑いの街でな」
「人はそこで笑うことが多いね」
「しかしな」
それと共にというのでした。
「わしはそっちは専門ではない」
「いや、お前さん落語するじゃない」
「専門ではない、餅は餅屋でな」
それでというのです。
「漫才もじゃ」
「漫才師の人達の方がかい」
「左様、実際にここに来たな」
外の世界からというのです。
「漫才師の者達の方が面白いであろう」
「お前さんの落語よりも」
「コントでも新喜劇でもな」
そういったものでもというのです。
「わしとお主で夫婦漫才をやってもな」
「それなりに受けてるけれどね」
「時々やって披露してもな」
「やっぱりだね」
「プロの者達には負けるわ」
「あの人達はそれがお仕事だし」
「そうじゃ、しかしわしはわしで人を笑わせることが出来る」
秀吉さんはねねさんにあらためて言いました。
「だからな」
「お前さんのやり方でだね」
「人を笑わせよう、笑わぬならな」
それならというのです、秀吉さんはここで和菓子を食べてその味を楽しんでからねねさんに言うのでした。
「笑わせてやろうじゃ」
「不如帰だね」
「この場合は人であるがな」
「それがお前さんだね」
「実は殿もじゃ」
信長さんもというのです。
「鳴かぬならであるな」
「そうだね、殿様はね」
ねねさんもその通りだと頷きます。
「そうした方だね」
「そうであるな」
「全然物騒じゃなくてね」
「不如帰が鳴かなかったら」
「むしろわし以上にじゃ」
「鳴かせてやろうだね」
「そして徳川殿もな」
この人達もというのです。
「そうであるな」
「そうだね、どの人も」
「うむ、それでな」
「人もだね」
「笑わせてやろうとな」
その様にというのです。
「なるわ」
「そうだね」
「ではどうして笑わせるか」
秀吉さんは楽しそうに述べました。
「丁度花見をやるつもりであるし」
「それでだね」
「皆をな」
是非にと言うのでした。
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