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第二十五話 選択その六

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「彼はね」
「まだだね」
「そうよ、それでね」 
「今は僕を入れて四人」
「そのままよ」
「そうだね、一度ね」
 牙暁は庚に言った。
「僕も皆と一堂に会して」
「お話したいのね」
「そう思っているよ」
「では夢の中でね」
 庚はそう願う牙暁に笑って応えた。
「そうしたらいいわ」
「七人全員都庁に集まったら」
「その時にね」
「ではそうさせてもらうね。皆ね」
「悪い子達ではないから」
「そうだね。庚も含めて」
「あら、私もなの」
 時分もその中に入れられてだ、庚は笑って返した。その笑いは否定するのでもなく肯定するのでもなくだった。
「いい人なの」
「僕はそう思うよ」
「悪女だと思うけれど」 
 時分ではというのだ。
「違うのね」
「僕が見るにね」
「そうなのね」
「いつも皆のことを考えていてお姉さんのこともね」
「考えているから」
「自分さえよければいいなんてね」
 そうしたというのだ。
「考えもないし無駄に血を流すこともね」
「しないから」
「させないからね」
 他の者にもというのだ。
「そして表のお仕事も真面目だしね」
「それでなの」
「僕は庚もいい人だと思うよ」
 地の龍の者達の様にというのだ。
「本当にね」
「そう言われるとはね」
「意外なんだね」
「かなりね、けれど嬉しいわ」
 今度はくすりとした笑顔で応えた。
「本当にね」
「そうなんだね」
「ええ、それで皆集まったら」
「夢の中でもね」
「顔を合わせたいのね」
「七人全員。庚も含めてね」
「ではそうしましょう」
 庚も賛成した。
「その時はね」
「是非ね」
「そうしましょう、ただね」
「ただ?」
「夢の中では貴方は何を飲みたいかしら」
 このことをだ、庚は牙暁に尋ねた。
「それで」
「紅茶を頼めるかな」
「私達が普段飲んでいる」
「それでいいかな」
「わかったわ、ケーキも用意するわね」
「本当に頼むよ」
「それではね。ではまたね」
 庚はここでまた言った。
「夢の中で会いましょう」
「そうしよう」
「そしてまたお話をしましょう」
「そうしようね」
 二人は友人同士として別れを告げ合った、そうして目覚めたが。
 庚は起きて朝だ、共に朝食を食べている遊人達に言った。
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