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第二十五話 選択その四

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「この世のあらゆる災厄が出て来た」
「そうあるね」
「けれど人間がもっと言えば神々でもね」
「この世にいるのなら」
「そもそもギリシア神話は最初からよ」
 庚はこの神話の話をさらにした。
「何かと思っているわね」
「戦いも対立も」
「そう、だからね」 
 それでというのだ。
「災厄はね」
「この世に最初からあった」
「既に神々の間にあったのよ」
「人間がいなくても」
「だからね」
 庚はさらに話した。
「あの箱の中にはよ」
「災厄はなかった」
「最初からこの世にあったのよ」
「そうだったんだ」
「つまり神々はね」
「人に希望がある」
「そう、災厄があればね」
 それならというのだ。
「希望もね」
「共にだね」
「あってね」
 それでというのだ。
「神々はそのことをよ」
「人々に知らせたんだ」
「そうなのよ」 
 そうだったというのだ。
「実はね」
「そうしたお話だったんだ」
「私はそう思う時があるわ、それでね」
 庚はさらに話した。
「私達の間にもね」
「希望はあるんだ」
「その筈よ、希望は絶対にあって」
「僕達の間にも」
「物事をよくしてくれるわ」
 こうも話した、庚は牙暁にそうした話をしながら自分も次第に気持ちが上向いてきているのを感じていた。
 そしてだ、こうも話した。
「きっとね」
「そう思っていいんだね」
「そうよ、貴方でもね」
「僕も希望を持っていいんだ」
「誰もが持っていいものでしょ」
「希望は」
「持つなと言われたことはないでしょ」
 牙暁に問うた。
「そうでしょ」
「自分自身に言い聞かせているけれど」
「自分ではね」
「貴方だけね。他の誰にもでしょ」
「それは」
 北斗といつも話していることを思い出して答えた。
「別にね」
「そうね、私も言わないでしょ」
「今そうするなと言っているよ」
「それが答えよ、だからね」
「僕もなんだ」
「そう、もっとね」
「希望を持って」
「見ていればいいのよ」
「彼等のことも戦いのことも」
「誰も死なない戦いはないわ」
 庚はこうも言った。
「私達の戦いでもね」
「やはり誰かが死ぬね」
「貴方の夢見でもかしら」
「天の龍では三人は間違いなく」
「亡くなって」
「地の龍もかなりの人が」
「そうなるのね、私も姉さんもどうなるか」
 自分のことも含めて話した。
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