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邪教、引き継ぎます
第一章
3.ハーゴンの神殿
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のために有益なことをしている。そう教わっていたし、そう信じていた。

 そして自分自身も、恩人であり第二の父親であるハゼリオや、その上司であるハーゴンのために働き続けることに疑問を持ったことはない。彼らに仕えることは喜びであり、人生そのものだった。

「キミは教団の中でどんなことをしてたの」
「決まった時間に、大神官ハーゴン様や、悪魔神官ハゼリオ様、他の幹部の皆様にお茶を出して、あとは部屋の掃除などを」
「お茶くみ係とか雑用係とか、そんな感じで言われてる仕事かな」
「はい。たぶんそうです」
「あー、だから何も知らない感じなんだ。でも変な経典が存在したとか、そういうのは気づいていたんじゃないの」
「経典は存在しません。教団の教義は簡単でわかりやすいです。この世界に必要なものは創造のための破壊。それだけです。そのためにハーゴン様は破壊神の召喚を目指していたのです」
胡散(うさん)くさいし嘘くさい。必要なものは破滅、じゃなくて?」
「違います」

 フォルの声量がわずかに増すと、少女は首に巻かれた幅広で大きなマフラーを少し上方向に直した。
 そして「まあいいか」と言うと、くるっと背を向けた。

「こっちに来なよ。わかりやすいものが見られる」

 そう言って歩き出した少女。
 フォルも追った。



「はい、お亡くなりになった破壊神」

 少女は特に指し示さなかった。
 周辺の巨大ながれきでもまったく隠せていない大きさの死体は、一度もそれを見たことがないフォルにとっても一目瞭然だったからだ。

「これが……破壊神……」

 他の死体と同様に鳥についばまれ、筋肉や臓腑は消失しているようであった。だが生前の姿を想像することは容易だった。

 二本の角が生えた大きな頭部。大きく裂けていたであろう口に残る、鋭い牙。鱗に覆われた皮膚。ところどころで覗いている大きな骨。大きな爪を持つ、腕のようにも足のようにも見えるものが六本。また、尻尾の先は蛇の頭部のような形状になっていた。

「見た目、いかにもダメでしょ? 禍々しいというか」

 その問いかけでも、呆然として現実に戻されないフォル。
 少女はスッと近づき、その背中を叩いた。

「わっ」
「いや、『わっ』じゃなくてさ」

 物理的な刺激にビクンとなって我に返ったフォルに、さらに問いかけてくる。

「これから、どうするの? このとおり、神殿は崩れて、大神官も死んで、破壊神も死んだんだけど?」
「あ、はい。ええと」

 仮面を着けたまま、フォルは頭を掻いた。

「何も考えてなかったみたいだね。さすがお茶くみ。ま、混乱するのはいちおうわかるけど。はい深呼吸一回」
「え? あ、はい」

 大神殿では、どうしますかと相手に聞くこと
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