暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第160話:夏の日差しの下で
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材を見る目はあるつもりなので」
「何だったら、一つ食べてみるかね?」
「いいのですか? なら、お言葉に甘えて……」

 ガルドと、ついでに切歌と調もトマトを受け取り一口食べてみた。

 一口齧って見ると、果肉が詰まったトマトから爽やかな酸味と甘みが口一杯に広がる。その味わいは普段仕入れるトマトとは一線を画していた。
 料理人として良い食材に目が無いガルドは勿論、切歌と調も思わず目を輝かせた。

「これは……凄いな」
「美味しいデスッ!」
「うん! 近所のスーパーのとは違う……」
「そうじゃろう? 丹精込めて育てたトマトじゃからなぁ」

 トマトの味に盛り上がる3人と、自慢の作物を素直に褒められて嬉しそうな老婆。その様子をマリアが何とも言えぬ顔で見つめていた。
 その顔には今が非常時であると言う事以外に、話に入り込めない気まずさが見え隠れしている。

「あ、あのね、お母さん……」

 それでも何とか言葉を振り絞って老婆をこの場から退去させようと試みるマリアだったが、そこに第三者の声が響き渡った。
 マリア達はその声に聞き覚えがあった。

「きゃは〜ん♪ 見ぃつけたッ!」

 そこに居たのはパヴァリア光明結社の幹部、カリオストロ。姿を現した敵の幹部にマリアは老婆を守る様に立ち、ガルドは切歌達に先んじて前に出て対峙した。

 そんな彼らを見て、カリオストロは少し残念そうに肩を落とす。

「あれま『じゃない方』……。色々残念な三色団子ちゃん達か」
「三ッ!?」
「色ッ!?」
「団子とはどういうことデスかッ!」

 三色団子扱いされた事に憤るマリア達。一方ガルドは改めてマリア達を眺め、カリオストロが3人を三色団子と称した理由を考えていた。

「白……桃……緑……なるほど、ギアの色か」
「ピンポーン。見た感じね」
「ガルド、冷静に分析しないでッ!」

 マリアに窘められてカリオストロに向き直るガルド。既に指輪をはめており、何時でも変身できるようにしている。そんな彼を前にしても、カリオストロは余裕そうな態度を崩さない。

「あらやる気? でもガッカリ団子三姉妹が一緒で戦えるの? それとも、あの子達はギアを纏えるのかしら?」
「そっちこそ、1人で大丈夫なのか?」

 挑発に挑発を返すガルド。彼はカリオストロと対峙しながら後ろ手でマリア達に逃げるよう指示した。現時点で全力を出して戦えるのは彼1人だけだ。
 彼の意図を汲んで、マリアは老婆を背負い切歌と調と共にその場を離れた。その様子にカリオストロは物足りないと言いたげな様子でアルカノイズの召喚結晶を取り出した。

「やっぱりお薬を使い切って戦えないのね。それならそれで……信号機が点滅する前に片付けて――」
「させると思うかッ!」

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