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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第160話:夏の日差しの下で
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同盟国ドイツより齎されたネフシュタンの鎧やイチイバル。そしてガングニール……」
どれもこれも二課に所属していた者達からすれば馴染みのある名前だ。ある意味で途中参加のマリア達ですら知っている名が出てきた事に関心を隠せない。
その間にトレーラーは大型のゲートを潜り、山をくり抜く様に造られた施設の中へと入っていった。
「バルベルデで入手した資料は、かつてドイツ軍が採用した方式で暗号化されていました。その為、ここに備わっている解読機にかける必要が出てきたのです」
「それ、使い物になるのか? 大昔の骨董品だろ?」
「安心してください。ちゃんと使える様に整備と点検は怠っていませんから」
先の大戦時の技術が未だに使われていると言う事に不安を隠せなかった颯人が思わず横から口を挟んでしまったが、慎次はそれをやんわりと否定する。
余計な茶々を入れた颯人の脇腹を奏が小突き、窘められた彼は無言で肩を竦めた。
直後、それを待っていた訳では無いだろうが、翼は己の内に燻る納得できていない思いを吐き出した。
「暗号解読機の使用にあたり、最高レベルの警備体制を周辺に敷くのは理解できます。ですが……退去命令でこの地に暮らす人々に無理を強いるというのは……」
退去・避難とは、その血に暮らしていた人々からそれまでの生活を奪う行為に他ならない。逃れられない災害から人命を守る為にしなければならないと言うのであればまだ納得できたが、今回は必ずしもそうとは言い切れない。翼の中には今回の住民への退去命令は間違っているのではないかと言う気持ちが拭えずにいた。
それに対し、弦十郎は翼に背を向けながら告げた。
「護るべきは人ではなく国……」
「人ではなく……?」
「……少なくとも”鎌倉”の意志はそう言う事らしい」
弦十郎の言葉に翼は奥歯を噛みしめ、響も納得できていない様な顔をした。無理もない。彼女は人を守る為にシンフォギアを纏い、その拳を握るのだ。
いや、彼女だけではない。この場に居る力を持つ者全員がそうだ。皆国と言う大きくてあやふやなものではなく、すぐそこに居て手の届くものを守る為に力を手にしていた。
だと言うのに、その守るべき人々を蔑ろにして国を守れと言われても納得できるものではない。
それは弦十郎も同じなのだろう。司令官と言う立場であっても、国と言う存在の前には頭を下げる事しか出来ない。やれと言われればやるしかないのが彼の立場故、表立って逆らいはしないが内心では納得しきれていないのが察せられた。
だから颯人もその事について茶化す様な真似はしない。彼自身、政府の意向に納得しきれてはいないが割り切れるだけの分別は持ち合わせていた。
そのまま施設内に入った彼らは、手に入れた資料が解読機にかけられる
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