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冬休みに入って直ぐ、クリスマスの日。夜に1組4人の予約のお客様があると言っていた。私は、朝から準備をして、そのまま午前中は練習で、帰って来て夜も厨房に入っていたのだが、夜6時ごろ来店されて、私はいつものようにウチのお店では先付からお出しするので、奥の厨房でその盛り付けから始めていた。
初めて来られた家族連れみたいで、ご両親と大学生らしい息子、娘らしい。
「テンマ ビールにしようか 瓶ビールを1本 グラスは3ツ 璃々香はどうする?」
私は一瞬 手が止まっていた。
「私 温かいお茶で」と、間違いない あの声 あの人だ。練習で会った時はそんなこと何にも言って無かった。のれんの隙間から覗いてみると、あのお兄ちゃんと言っていた人の隣に座って銀色に輝く髪留め、濃いロイヤルブルーのワンピースの端正な姿。間違いなかった。
なんでえー ウチの実家やってことわかっててきたのー 椀物を入れていたのだけど、手が止まっていて、健也さんから、「ホイ!」と、お尻をポンとされていた。
「テンマ そろそろ 就活なんだろ?」
「ええ 中には、早々と内々定をもらってるって奴もいるけど、僕は公務員志望だから試験は来年の夏頃かなー 市役所でも・・ 宮津辺りがいいなぁー 海も近いし、ゆったり過ごせそうだし」
「うーん 気楽なもんだなぁー 家を出るのかー お母さんが寂しがるぞー まぁ男だしな しょうがないか 璃々香はそのまま大学に進むんだろぅ?」
「ええ 私 子供達のスポーツ医学 勉強したいから 今のまま エスカレーターでと思ってるワ」
その後、バイトの静香さんが、日本酒の用意をしていた。
「そうか 璃々香の誕生日なんだから この後 プレゼントにネックレスでも 買いに行くか? それとも、ネックレスは彼氏からのものがいいか?」
「お父さん 私 彼氏居ません テニスが恋人」
「そりゃー 良かった! テニスは続けるのか?」
「もちろん 来年 最後のインターハイあるけど なんか 不完全燃焼で終わりそうだし 衣笠響さんに勝てるかどうかわかんないものー」
「この前 勝ったじゃあないか」
「あれは すばらしい相方が居たからよ 1年生なんだけどね 私が無理やりペァを組ませて・・ その子はね 打てば響くというか 私が無理言ってもね 必ず 応えてくれるの 普段 私 こんな性格でしょ 素直に言えなくて、冷たくなってしまってね 本人の眼の前では言えないんだけど すごーく 好きなの その子のこと こんな妹居たらいいなぁーって 言いたいのよ」
「あの魔球サーブの子のことか?」と、お兄さんも私のことだとわかってるんだ。
「そうよ 私 この半年しか組めなかったけど・・ もっととー 大学でも、一緒に組めないかなーなんて
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