シナリオ
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ここから次の選手が放出されるまでは余計な力を使わない方向にシフトしたのだろう。ただ、それは果たして正解なのかと問われると首を縦には振れない。なぜなら次に戦いに参加できる選手が相手のチームの人間だった場合、わずかな体力の消耗を防いだところで微々たるものだからだ。
「あたしたちにできるのは祈ることくらいだよね」
「そうですね。ギルダーツさんが参加できることを祈りましょう」
今はチームが違うとは言え同じギルドの仲間だ。俺たちは両手を握り合わせながら試合を見守る。なんとかこちら側の劣勢をなんとかできる展開になることを祈りながら。
第三者side
大魔闘演武に参加しているものたちも選手には選ばれなかったものの同じギルドの一員として応援しているものたちも全員が祈るように手を握り合わせている妖精の尻尾。その様子を見ていた仮面の女性は嘲笑いながら口を開いた。
「見て、あいつら。あんな顔しながら祈ってるよ」
「うむ。実に滑稽だな」
ケラケラと笑っている女性と同調する大男。しかし、そんな二人の方を見ながらもう一人の長い髪をしている女性は鼻で笑っていた。
「あら?人間みがあっていいじゃない。私にもわかるわよ、その気持ち」
そう言った女性の方を振り向いた二人だったが、彼女の言葉に不快感は持っていない様子。ただ、女性の方はなおも笑いが止まらない様子だったが。
「いやいや。私が言いたいのはそう言うことじゃない。あいつらが祈ってることが面白いんだよ」
「??何が違うのかしら?」
彼女が何を言いたいのかわからず首をかしげる女性。それに対し彼女は嬉々として答える。
「あいつら、きっと仲間の放出を祈って手を合わせてるんだぜ?それが面白くて面白くて」
「あぁ。なるほど」
彼女が何を言いたいのかようやく理解した女性も小さくではあるが笑みを浮かべていた。それから三人の視線は戦っている・・・正確には蹂躙されている金髪の青年の方へと向けられる。
「滑稽だよなぁ、この試合に関してはすでに誰が放出されるか順番が決まってるのに」
なおも止まらない笑いを彼女はそう言いながら口を抑えている。それを聞いていた二人も頷いた後、言葉を紡ぎ続けている実況席へと視線を向けていた。
「あの女も演技派だな。この試合の意味をわかっているはずなのに、あそこまで盛り上がれるとは」
男が言ったのはゲストとして参加しているリュシー。彼女のことも知っている彼らはまるで初めて自分たちを見るかのように振る舞っている彼女の姿がこれまた笑いを増幅させていた。
「この試合の結果も過程ももう全て決まっている。それを実現するために行動するのが私たちの役割」
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