第八十五話 兄に言われてその二
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「一人だけだろ」
「あの将軍様ね」
「そんな国だと筋肉なんてな」
「備わる筈ないわね」
「逆にガリガリになってな」
食べるものがなくというのだ。
「なれる筈がないんだ」
「本当に食べてこそね」
「そうだよ、食べてないアスリートの人もいないだろ」
「いないわね」
留奈もそれはと答えた。
「確かに」
「確かに食べてな」
「そして飲んで」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「トレーニングをするんだ」
「そうすることね」
「あの将軍様はそんなことする気がないみたいだがな」
「丸々と太ってね」
「しかも自分だけな」
人民が餓えているがだ。
「そうなっているからな」
「余計に悪いわね」
「しかも大酒飲みらしいな」
このことも言うのだった。
「毎日かなりな」
「飲んでいるのね」
「身体を壊すぞ」
兄は言い切った。
「暴飲暴食でな」
「そういえば不健康な太り方よね」
「親父さんもお祖父さんもそうだったしな」
「太ってたわね」
やはり国民は餓えていたがだ。
「そうね」
「あれは問題外だしな」
「国民の人達を餓えさせてね」
「軍隊にな」
その体格の悪いというのだ。
「将軍様の贅沢でな」
「お金使いまくってるのよね」
「あそこの予算の半分近くがな」
「その二つに使われて」
「他のことにはな」
「あまり使ってないのね」
「それであの太り方だぞ」
将軍様はというのだ。
「どれだけ酷いんだ」
「無茶苦茶よね」
「あそこの生活なんてな」
国民生活はというのだ。
「もうな」
「餓えていて」
「夜の灯かりだってな」
これもというのだ。
「ないんだぞ」
「人工衛星で夜撮影したら」
留奈も言った。
「あそこだけ真っ暗なのよね」
「そうだ」
兄もその通りだと答えた。
「どんな暮らしかな」
「食べものもないし」
「わかるな」
「物凄いわね」
悪い意味でというのだ。
「本当に」
「あんな国に生まれたらな」
「筋肉どころじゃないわね」
「ちょっと将軍様のこと悪く言ってもな」
「死刑よね」
「それか収容所行きだ」
この国では独裁対象地域という、言うまでもなく入ればこれ以上はないまでに過酷な生活を強いられることになる。
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