第五話(ステータスプレート)
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ぞ、仕返しされたらどうしよう……」
次々と驚愕する、絶望する、恐れる生徒達にハジメは呆れる。
「こらー! 何を恐れているんですか! 仲間を化け物呼ばわりするなんて先生許しませんよ! ええ、先生は絶対許しません! 早くプレートを南雲君に返しなさい!」
ちっこい体で精一杯怒りを表現する愛子先生。その姿に毒気を抜かれたのかプレートがハジメに恐る恐る返される。
愛子先生はハジメに向き直ると励はげますように肩を叩いた。
「南雲君、気にすることはありませんよ! 先生だって非戦系? とかいう天職ですし、ステータスは低いですけど。南雲君を化け物だなんて思いませんからね!」
そう言って「ほらっ」と愛子先生はハジメに自分のステータスを見せた。
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畑山愛子 25歳 女 レベル:1
天職:作農師
筋力:5
体力:10
耐性:10
敏捷:5
魔力:100
魔耐:10
技能:
土壌管理・土壌回復・範囲耕作・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作・範囲温度調整・農場結界・豊穣天雨・言語理解
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ハジメは引きつった顔となった。
「あれっ、どうしたんですか! 南雲君!」とハジメをガクガク揺さぶる愛子先生。
確かに全体のステータスは低いし、非戦系天職だろうことは一目でわかるのだが……魔力だけなら勇者に匹敵しており、技能数なら超えている。糧食問題は戦争には付きものだ。ハジメのようにいくらでも優秀な代わりのいる職業ではないのだ。つまり、愛子先生も十二分に怪物だった。もしも、ハジメのステータスに匹敵する植物系モンスターとかいればステータスとレベル差を無視してスキルだけで倒せてしまいそうだ。それを考えると召喚された神の使徒たちで大当たりなのはハジメと愛子の二人だろう。勇者の天之河の存在が霞んでしまうが。
「あらあら、愛ちゃんったら少しばかり空回りしちゃったわね……」
「な、南雲くん! 大丈夫!?」
少し困った反応をするハジメを見て雫が苦笑いし、香織が心配そうに駆け寄る。愛子先生は「あれぇ〜?」と首を傾げている。相変わらず一生懸命だが空回る愛子先生にほっこりするクラスメイト達。
ハジメに対する嘲笑を止めるという目的自体は達成したものの、上げて落とす的な気遣いと、これからの前途多難さに、ハジメは乾いた笑みを浮かべるのだった。
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