第三話
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崎さん。でも、もう食べ終わったから天之河君達と食べたらどうかな?」
そう言って、空となった弁当箱の中身を見せる。断るのも「何様だ!」と思われそうだが、お昼休憩の間ずっと針のむしろよりは幾分マシだ。
しかし、その程度の抵抗など意味をなさないとばかり女神は追撃をかける。
「えっ! お昼それだけなの? ダメだよ、育ち盛りなのだから、ちゃんともっと食べないと! 私のお弁当、分けてあげるね!」
( もう勘弁して下さい! 気づいて! 周りの空気に気づいて!あと、僕が作った弁当の内容量平均値だからね! )
刻一刻と増していく圧力に、ハジメが冷や汗を流していると救世主が現れた。光輝達だ。
「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」
爽やかに笑いながら気障なセリフを吐く光輝にキョトンとする香織。少々鈍感というか天然が入っている彼女には、光輝のイケメンスマイルやセリフも効果がないようだ。
「え? なんで光輝くんの許しがいるの?」
素で聞き返す香織に思わず雫が「ブフッ」と吹き出した。光輝は困ったように笑いながらあれこれ話しているが、結局、ハジメの席に学校一有名な四人組が集まっている事実に変わりはなく視線の圧力は弱まらない。
深い溜息を吐きながらハジメは内心で愚痴った。
(もういっそ、こいつら異世界召喚とかされないかな……? どう見てもこの四人組、そういう何かに巻き込まれそうな雰囲気ありありだろうに。……どこかの世界の神・邪神・悪魔・魔法使いの誰でもいいので召喚してくれませんか〜〜(合掌))
現実逃避のため異世界に電波を飛ばすハジメ。いつも通り苦笑いでお茶を濁して退散するかと腰を上げかけたところで……
凍りついた。
ハジメの目の前、光輝の足元に純白に光り輝く円環と幾何学きかがく模様が現れたからだ。その異常事態には直ぐに周りの生徒達も気がついた。全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様――俗に言う魔法陣らしきものを注視する。
その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。
自分の足元まで異常が迫って来たことで、ようやく硬直が解け悲鳴を上げる生徒達。未だ教室にいた愛子先生が咄嗟に「皆! 教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。
数秒か、数分か、光によって真っ白に塗りつぶされた教室が再び色を取り戻す頃、そこには既に誰もいなかった。蹴倒された椅子に、食べ
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