暁 〜小説投稿サイト〜
詭道贋作ガンダム・戦後の達人
第1幕:帰って来てしまったエース
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騒な兵器は、持ち歩かない!」
少女の本気を知った暴走族は、今度こそ武器を捨てて逃げた。
少女も流石に丸腰の敵を殺す程の鬼ではなく、無人攻撃機と化したフェルシュングの主翼を再び背中に装着する。
これを契機として、暴走族は敗走しバラバラに逃げた。
意外そうな顔をする館長を尻目に、少女はある人物の方を向く。
「気配が見えるよ?素人」
少女が発見したのは、昨日館長と口論したあの青年であった。
「……嘘だ……」
「嘘?あれで隠れた心算なの?」
「違う……」
「違う?じゃあ、何が嘘なの?」
困惑と混乱しながら青年が口にしたのは、フェルシュングを巧みに操る少女の名前であった。
「そんな筈は無い!何で赤い鷹匠と呼ばれる程のエースドライバーである筈の『ツルギ・マインドル』がこんな所でくすぶってるぅー!?」
混乱しながら少女と口論する青年の記憶にあるツルギ・マインドルは、火星粛清反対派最強のエースドライバーで高嶺の花とも言える軍の重鎮……だと思っていたのに……
だが、目の前にいる『赤い鷹匠ツルギ・マインドルの愛機である筈のガンダム・フェルシュングを運転する少女』が……名も無き流れのホームレスに墜ちたからだ。
それに対し、少女は青年の考えが見えているのか、90mmビームピストルを発砲して青年の頭頂部をかすめた。
「あと1m下だったら……私はあそこにいる館長に恨まれていただろうね?」
一方の青年は恐怖で完全に固まっている。それを観ている館長も不安で圧し潰されそうになっている。
が、少女は冷徹に言い分を続けた。
「アンタは、展示する予定の兵器(このこたち)から出番を奪う事を非道な事と言った。この子達が背負ってる罪や恨みの事まで考えずに」
青年は少女が間違った事を言っているのに気付いて慌てて反論しようとするが、
「それは違う!」
「いや……違わない。戦争に関わる者に与えられる選択肢は……たったの3つだ」
「3つ?」
「殺されるか―――」
「だからこそ!……だからこそ展示する予定の兵器(かれらたち)の力が必要―――」
「最後まで聴け!素人風情が!」
少女の貫禄に圧し敗けて何も言えない。
「さて……どこまで話したっけな?……あぁ、戦争が選ぶ3択の話だったな。そう……戦争が選べる進路は3つ……殺されるか……失うか……恨まれるか」
「恨み……そんなの敗者の逆ギレによる―――」
「誰にも恨まれないまま生きていける人間が……この世にいると思うか?」
その言葉に、館長は少女が背負っている物の重さに心配になり背筋が凍る。
「特に私は……勝ち過ぎた」
その時、バラバラに逃げた筈の暴走族を全員逮捕した軍隊が博物館に雪崩れ込んで来た。
「この博物館から展示されている兵器を奪ったのは、これで全員か!?」
対して、館長が指差したのは……

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