第1幕:帰って来てしまったエース
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の点は気になさらず。それより、運転するモビルフォースはどれです?」
館長は困惑しながら指示する。
「あー……取り敢えずぅ、これらの兵器を指定する展示場所へ運んで欲しんだけど……」
少女は不言実行とばかりにテキパキと兵器を展示場所へと運搬する。
「……完璧です」
だが、赤いモビルフォースの所で少女が突然止まってしまった。
「あぁ、この機体ね。10年前の半年戦争で活躍した『赤い鷹匠』が使用していたとされるモビルフォースらしいんだが―――」
そこから先の館長の言葉は、少女の耳には届かなかった。いや、例え届いたとしても少女の停止は続いていただろう。
そこへ、1人の青年がやって来て、
「親父!本気かよ!?」
彼は館長と違って戦争博物館開展に反対だった。
「私は本気だよ。半年戦争が終焉してから既に10年が経過し、惨劇の詳細を忘れた者が増えた。このまま美化され風化すれば、展示する予定の兵器の贖罪の場は失われる。そうなれば、また我々人々は半年戦争の様な惨劇を繰り返す事になる」
「俺はそんな事を言ってるんじゃない!展示する予定の兵器から活躍の場を奪った俺達の罪深さについて話してるんだよ!」
停止した少女が開展に反対する青年の言葉によって再び動き出した。
だが、青年はその事に気付かずに館長との口喧嘩に没頭する。
「綺麗事を言ってるのは親父の方だ!こんな所で誰とも戦う事無く晒し者だぞ?こいつらが可哀想だとおもわ、おわ!?」
その時、青年は少女の頭突きを喰らってしまう。
「あっ。すいません。ボーっと考え事をしておりました」
「何なんだこいつは?」
「私が急遽雇ったモビルフォースドライバーだよ」
が、青年は館長の説明を信じない。
「何を言っている。ちゃんとしたモビルフォースドライバーは、ちゃんと軍人として真面目に戦っているんだよ!」
その言葉にムッとした少女は、青年に対して意地悪な質問をした。
「もしも……人間がまだ生きている人間を食べてる場面に出くわしたら……貴方はどうします?」
青年は質問の内容を理解出来ずに困惑する。
「……それは……サバンナのライオンの話かい?」
呆れた少女は、小声で青年にこう述べた。
「剣も包丁も作り方は一緒です。問題は目的と使い方です」
そして、青年への興味を失った少女が館長に次の仕事を求めた。
一方の館長は、少女の質問の意図に気付いてしまったのか背筋が冷たかった。
「あ……あー……あの赤い鷹匠が使っていたモビルフォースを、そこのクズを使ってあそこまで運んで欲しいんだが」
(あの歳であの様な質問!?彼女はいったい何者なんだ!?)
その後、館長と口論となった青年が誰もいない戦争博物館を視て決心を新たにした。
「やはり……戦場から追い出されてこんな所で無理矢理寝
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