第八十四話 映画を観てその十四
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「何が怖い」
「そうなるわね」
「ドラキュラ伯爵や狼男やフランケンが出てもな」
それでもというのだ。
「襲い掛かってこないならな」
「ただお茶とか飲んで仲間内でお喋りしていたら」
「何でもない」
「幽霊にしてもいるだけなら」
「別に怖くない、しかし怨霊だとな」
「日本人にとっては一番怖いわ」
「俺もだ、祟られて死にたくない」
越智はこの言葉を心から出した。
「絶対にな」
「その通りね」
「だからサンタさんも怖くない」
「ましてや同時上映のドラえもんだと」
「ためになってな」
人生のそれにというのだ。
「怖い筈がない」
「まあ外国の人でも怖いとは思わないわね」
「そうだな、魔界でもな」
ドラえもんのシリーズにはそちらに行く作品もあるのだ、そしてこの作品もリメイク版が存在している。
「そんなにな」
「怖くないわね」
「そうだな」
「子供の頃メデューサ怖かったけれど」
この作品に出て来るというのだ。
「けれどね」
「大人になるとな」
「怖くはね」
「ないな」
「やっぱり幽霊の方がよ」
それも怨霊の方がというのだ。
「怖いわ」
「そうなるな」
「いや、今日のデートでそうしたこともわかったわ」
富美子はしみじみとした口調で述べた。
「何が一番怖いかも」
「その国の人それぞれでな」
「日本人は怨霊だってね」
「俺もだ、それで祟られたくない」
「何があってもね」
「よくわかった、じゃあな」
富美子に真面目な顔で話した。
「これからな」
「帰るのね」
「家までな、送っていいか」
「お願いしていい?」
越智に顔を向けて微笑んで言った。
「団地の私のお部屋までね」
「それじゃあな、しかし梅田に行くのもな」
二人が今いる百貨店のある場所である。
「暫く振りだったな」
「そうね、学校に行く電車は梅田から出ても」
「学園前まで直通のな」
「それでもね」
「梅田の何処かに行くのはな」
このことはというのだ。
「本当にな」
「私も暫く振りだったわ」
「そうなんだな」
「そのことも嬉しかったわ」
越智に顔を向けて微笑んで話した。
「だからまた何かあったらね」
「その時もだな」
「ここ来ましょう」
梅田にというのだ。
「そうしましょう」
「そうだな、八条百貨店もな」
「神戸の本店もいいけれど」
「この大阪店もいいしな」
「だからね」
それでというのだ。
「またね」
「ああ、行こうな」
「そうしましょう」
「それとな」
「それと?」
「最後に何か食わないか」
こう言うのだった。
「軽くな」
「じゃあソフトね」
富美子は笑って言った。
「あれ食べましょう」
「ソフトクリームか」
「あれならね」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ