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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第六十八話 前線指揮
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建物は、元々ホテルだったものを接収したものだ。接収とは言ってもスタッフはそのまま働いているし、一般人が宿泊出来ないだけで、必要設備が運び込まれた以外はホテルだった頃と何ら変わりがない。
「此処の司令部は食事が旨くていいですよね」
「ああ、元々ホテルだからな」
ワイドボーンは子羊のカツレツ、ヤンさんは鱸のソテークリームソース和えを食べている。俺もワイドボーンに倣ってカツレツにした。
突然宇宙艦隊司令部の参謀チームとして雇われたが、俺達専用の部屋がある訳ではなかったから、皆と夕食を食べながら大まかな作戦説明をする事にした。作戦の内容は当然ルーカス司令長官代理の許可を得たものだ。
「では、作戦を説明する。ああ、手を止める必要はないよ、食べながら聞いてくれ」
作戦内容はオーソドックスなものだ。敵の戦力の判明しているフォルゲン宙域に、先行している第十二艦隊、第一、第二艦隊の三個艦隊を配置する。残りの四個艦隊はアムリッァ星域外縁部のボーデン宙域方向に配置する。

 フォークが口の端をナプキンで拭いながら挙手している。「よろしいでしょうか」
「どうぞ、大尉」
「ありがとうございます…敵の兵力はフォルゲン宙域の約五万隻と判明しております。此方に比して戦力は過少、何故一挙に叩かないのでしょう?一個艦隊をボーデンに派出、残りの六個艦隊で一挙に包囲殲滅致しますれば完勝間違いないと小官などは考えますが」
高度な柔軟性を維持し、とか言い出したらどうしようかと思った。無言の俺を見て、ヤンさんが代わりに答える。
「状況が変わらないのであれば、大尉の策でフォルゲンでは勝てるだろうね。だがボーデンに敵の増援が来ないとも限らない。フォルゲンに更に増援があるかもしれない。フォルゲンの敵は陽動かもしれない。帝国艦隊の出方を見るのが先ではないかな」
「…ヤン大佐の仰る事は可能性に過ぎません。大佐の仰る様な事態を考慮すれば尚更フォルゲンの敵は早急に撃破せねばならないと考えますが」
フォークとてフォルゲン、ボーデンの両宙域から挟撃される可能性は考えたろう。敵の援軍が来ないうちに判明している敵を叩く…構想は正しい、正しいが…。次に口を開いたのはワイドボーンだった。
「現在、エル・ファシル駐留の二個艦隊及び、イゼルローン駐留艦隊も出師準備中だ。その三つの艦隊がアムリッツアに到着するまで、戦線を維持せよ、というのが司令長官代理の意図されるところだ。フォーク大尉の意見は正しいが、ただ戦えばいいというものではない。宜しいな」
短く返事をしてフォークは着席した。ワイドボーンが言った事は俺が言おうとしてた事だ。全部聞かないで発言するからだぞ…。
「エル・ファシルの二個艦隊、イゼルローンの駐留艦隊がアムリッツアに到着するまでおよそ十日、という所ですか」
ブランデーをドボドボとグラスに
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