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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第六十八話 前線指揮
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を充てる。ウィンチェスター准将以下のスタッフは今手が空いているし、准将の能力は皆が知るところだ。それに長官代理が来られるまで何もしない訳にもいかない。この件はシトレ本部長も了承されているそうだ。正式な命令書はイゼルローン経由で届く」
会議室がざわつき始めた。一番ざわつきたいのは俺なんだが……。イゼルローン要塞や要塞駐留艦隊にだって司令部要員は居るだろうに。長官代理とて当然スタッフを連れてくるのだろうが…。皆責任を取りたくないのに違いない。再びドアがノックされ、先程の通信士官が入って来た。通信士官はルーカス提督の耳元で何か囁くと、逃げる様に出て行った。
「ルーカス司令長官代理からだ。基本方針として戦線維持および迎撃に徹せよ。兵力の戦術的運用については現地任命の宇宙艦隊司令部スタッフと各艦隊司令部とで調整せよとの事だ」
ざわつく声が大きくなっていく。艦隊司令官は宇宙艦隊司令部の命令無しに勝手に動く事は無い。現地のスタッフ、つまり俺と調整しろという事は、俺の言う事は司令長官代理の命令と等しいと言う事になる。丸投げだ、丸投げ!

 「急な事で済まないが准将、よろしく頼む」
コーネフ提督はじめ諸提督が頭を下げた。あんたら気概は無いんか!俺は准将なんだぞ?形式としては宇宙艦隊司令長官が直卒する形だけど、実際に指示を出すのは俺なんだぞ?それにだ、指示を出す俺の身にもなってくれよ、上位者からの反感や妬みを買うのは真っ平御免なんだよ…。
「高等参事官…これは、出来レースじゃないですか?」
オットーが提督達を見ながら呟いた。ワイドボーンも頷いている。
「出来レース…?そうか、そうだろうな」
普通に考えれば、たとえ国防委員長命令とはいえ下位の俺の指示など聞きたくもない筈だ…だが誰も反感やそういった類いの負の感情を表面上は出す事もなく、命令を粛々と受け入れている。誰もホイヘンス中将の轍を踏みたく無いのだ。彼は命令不服従を犯した。帝国軍は撃退しなくてはならないが、独断専行と言われる様な事は避けたい。かと言って動かなければ戦意不足などと言われかねない。だが上級司令部は不在…。七個艦隊と言えば聞こえはいいが、まとめる者が居なければ烏合の衆に過ぎないのだ。二、三個艦隊なら現場レベルで意志疎通や連携を取れるかもしれないが、全体を見渡す者が居なくては、その連携プレーも無駄になる。
「准将、引き受けてくれるかね?命令が出された以上、引き受けるも引き受けないも無いのだが」
コーネフ提督の言う通りだ…後でシトレ親父と話してみるか。
「承知致しました。謹んで拝命致します」
「ありがとう…では一旦解散とする。各艦隊司令官は一九〇〇時に靡下の艦隊の整備状況を報告せよ」


同日17:35
同所、食堂
ヤマト・ウィンチェスター

 駐留軍司令部として使われているこの
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