敢闘編
第六十八話 前線指揮
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い」
中将は、余計な事をしてくれた、と言わんばかりの顔をした。
「貴官を責めている訳ではない。一部の不心得者達のせいだ。だが、実際に困った事になっている」
コーネフ中将の言う事は尤もな話だった。確かにコーネフ中将は艦隊司令官の中では最先任の中将だから、指揮を任されるのも分かる。だがそれは彼が望んだ結果ではない。戦闘の全権を任されている訳ではないし、たとえ任されたとしても、いち艦隊司令官がいきなり七個艦隊の統率を任されるのだ。艦隊司令官だからといってそれ以上の統帥が可能か、という事は別の話になる。
「ロボス司令長官は現在その職能を一時的に停止させられている。イゼルローンのルーカス大将、ウランフ提督にアムリッツァ駐留部隊の指揮をお願いしたが、やんわりと断られた」
断られた…?
「そうなのだ。前線からの要請だけで自分の権限を逸脱する事は出来ない、そう仰っておられた。現在はシトレ本部長のご判断を待っているところだ」
何を悠長な……とは言えない。前線の司令官が自分達の判断だけであれこれやり始めたら指揮系統はめちゃくちゃになってしまう。ルーカス大将の言う事は尤もな話だ。
「ボロディン提督…十二艦隊はなんと言ってきているのですか?」
「ボーデン宙域から戦力をフォルゲン宙域に呼び寄せて監視体勢を強化すると言っている。まあ、一部はボーデンに残すそうだが。当然我々も各艦隊に出動待機命令を出してある」
「帝国軍には動きはないのですか?」
「現状では動きは無いらしい」
呼び入れられた当番兵が、会議室の皆に珈琲を給仕し始めた。状況は判った。だけど何で俺が呼ばれたんだ?俺に何か口出す権利も権限も無いんだが…。珈琲が行き渡って当番兵が出て行くと、自然と小休憩の様な形になり、皆が思い思いに雑談を始めた。
「ワイドボーン、どう思う?」
「そうですね…皆腹案はあってもそれが受け入れられるとは限らない、部外者…高等参事官の意見が聞きたい…そんな所ではないですか。第一艦隊司令官のクブルスリー提督とは宇宙艦隊司令部勤務の時にご一緒されていたのではないですか?」
ふとクブルスリー提督を見ると済まなそうな顔をされた。ワイドボーンの言っている事が正解らしい。オブザーバー役という訳か…。
会議室にドアをノックする音が響き、失礼しますという声と共に通信士官がコーネフ提督の元に駆け寄って行く。通信士官が出て行くと、コーネフ提督が皆に声をかけた。
「皆、聞いてくれ」
コーネフ提督の呼び掛けに皆、居ずまいを正す。
「国防委員長命令だ。まだ内示だがルーカス大将が一時的に宇宙艦隊司令長官代理となられる。イゼルローン要塞司令官はウランフ大将が代理として兼任する。全般の統制はルーカス司令長官代理が行われるが、宇宙艦隊司令部の要員には臨時に高等参事官以下のアムリッツァ視察団
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