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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第六十八話 前線指揮
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た専門家はおらず、全ての決定権は現地司令官にある。現地軍司令官の最高位者は施政官として最高評議会議長より任命されている為、表面上は文民統制の枠内だが、現地レベルでみた場合、決定者が軍司令官である現状は文民統制の捻れ現象を引き起こしている。これは早急に解決せねばならない。一方、上記の不正事案の他は現地の統治に齟齬は見られない。これに関しては帝国時代から現地を統治する貴族達の功績が大である。彼等を行政官として同盟政府に帰属させ、現地行政を施行させた方がよいと思われる……。出だしはこんな感じか?

 「おお…早えな」
「何が」
「それ、今考えた事だろ?」
「まあね」
オットーはペンを口に咥えて天井を見ている。
「なるべくしてその立場に居る、って気がするよ。お前に関しては」
なるべくしてその立場、か…。大抵の事を知っている人間が組織に入れば、まあそうなるよな…。言ってしまえばもうこの世界は俺だけの銀英伝なんだもんな。それだけに周囲の人達に対しては人生を、運命を変えてしまった責任がある…。
お互いにペンを走らせる音だけが聞こえる。急にドアが開いたのはその時だった。部屋の入口にはワイドボーンが緊張した面持ちで立っている。
「こちらでしたか…。中央指揮所会議室にて各艦隊司令官がお待ちです。お急ぎ下さい」
……は??



13:30
同所、中央指揮所、会議室
ヤマト・ウィンチェスター

 中央指揮所に隣接する会議室に居並ぶのは、第一、第二、第三、第六、第七、第九の各艦隊司令官達だ。ロボス元帥は直卒兵力五千隻と共にハイネセンへ向かっているから、現地の最高司令官には暫定的に先任の第九艦隊司令官コーネフ中将が充てられている。十二艦隊ボロディン提督が居ないところを見ると、十二艦隊は定期哨戒の任務中なのだろう。
挨拶をする暇も無いまま会議室に入るなり着席を促され、言われるままに席に着いた。俺に続いてワイドボーンとオットーも入室を許された。
「移動前に済まないな、ウィンチェスター准将」
「いえ…コーネフ提督、何かご用がおありですか」
「哨戒任務中のボロディン提督から通報があった。フォルゲン星系宙域に帝国艦隊らしい存在を確認したそうだ。およそ五万隻らしい」
「五万隻、ですか」
「そうだ。ボロディン提督は艦隊を二分し、ボーデン、フォルゲン星系にて哨戒を行っていた。両宙域とも、此処に隣接する宙域だ」
「ボーデンには敵は居ないのですか?」
「今のところは。だがボーデンに敵が現れた場合、こちらは両宙域から挟み撃ちされてしまう」
「そうですね。大変な事態になります」
よく落ち着いていられるな、と言わんばかりのコーネフ中将の顔がおかしかったが、笑い出す訳にもいかない。
「困ったことに現在ロボス閣下は居られない。当然宇宙艦隊司令部も存在しな
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