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第二十四話 未来その三

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「俺の周りには悪人はいないか」
「そうだと思います」
「だが」
 神威は昴流を見た、そのうえでまた言った。
「桜塚護は」
「いや、あの人も」  
 その昴流が応えた、複雑そうな顔で。
「決してね」
「そうなのか」
「ずっとそうだと思ってきたし」
「今もか」
「そうであるとね」
 その様にというのだ。
「思いたいよ」
「そうなのか」
「多分他の人達もね」
「護刃の言う通りにか」
「悪い人達じゃないよ」
 地の龍の者達もというのだ。
「決してね」
「そうなのか」
「だから君はどちらを選んでも」
「支えてくれる仲間がいるか」
「何人もね」
「そうなのか」
「そのことは安心していいよ」
 昴流は無表情だが穏やかな声で語った。
「そしてそのうえで」
「選ぶことか」
「そうしたらいいよ」
「そうか、だがまだ決められない」 
 神威は難しい顔で述べた。
「考えさせてくれ」
「そうすべきよ」
 火煉は優しい声をかけた。
「貴方もね」
「運命の選択だからだな」
「貴方にとっても世界にとってもね」
「だからだな」
「よくね」
「よく考えてか」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「決めてね」
「わかった、まだ考える」
「そのうえで決めてね」
「そうさせてもらう」
 神威はこう答えた、そしてだった。
 彼は実際に考えていった、その間ずっとまだ目覚めない小鳥の傍にいた。眠るのも彼女の傍に座ったままでだった。
 そして夢の中でだ、丁にあるものを見せられた。それは。
「俺が二人いるな」
「はい、そして一人の貴方はです」
 丁は神威の前に座してお辞儀をする様な恰好で目を閉じて話した。
「鎖に両手両足を捉われ」
「動けなくだな」
「そしてもう一人の貴方がです」
 見ればだった。
「十字架に捉われている彼女をです」
「小鳥をか」
「あの剣で、です」
「嬉々として殺しているな」
「捉われている貴方が天の龍の貴方であり」
「小鳥を殺すのが地の龍の俺か」
「運命を選択すれば」 
 天の龍か地の龍かのというのだ。
「どちらかになります」
「俺は天の龍を選ぶとか」
「彼女が殺されるその時を見ます」
「そしてだな」
 神威はその目を鋭くさせて丁に言った。
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