帰ってきた男
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描くのが主流なんだから、そんなレトロなSFなんて流行らないんだよ。」
「てか、今時ネットで投稿の一つもやってないの、マユカくらいじゃね?」
部員達は部長に続くようにマユカに言う。
「古臭い?流行らない?知らないわよ、そんなの!私は人のご機嫌伺いのために書いていないの。私は、私の書きたい物語を書くの。それに、たとえ古臭かったとしても、読んでくれる人は必ずいるわ!」
マユカは荷物をまとめて部室から出ていく。
「あんなのでムキになるなんて、ばっかみたい。」
「ほんと、才能ないくせに。」
出ていくマユカを見て部員達はクスクスと笑っていた。
学校を出て、マユカは繁華街を苛つくように歩いていた。
(確かに、惑星間戦争なんて、数十年前に下火になった。宇宙人からの侵略なんて、物語の絵空事になった。でも、この地球という小さな惑星の中でも戦争が絶えることなく行われている。それなら、広い宇宙の中でもきっとどこかで惑星間戦争は続いているはず。そういう星にとって、武力の乏しい地球は都合のいい餌にしかならない。そのためにも、誰かが語り継いでいかないと。お祖父ちゃんたちの生きていた時代の志を。)
マユカは強い意志を固め、道を歩く。すると、
「お嬢ちゃん、今暇かい?」
三十代半ばと思われる男性がマユカに話しかける。
「忙しいです。」
マユカは鬱陶しそうに言い返す。
「もしかして彼氏とデート?それなら、俺の方が彼氏君より楽しませてあげられるよ?」
男はそれでもマユカに近づく。
「結構です!間に合っています!」
マユカは苛立った口調で言い返す。すると、
「ちっ、人が優しく話しかけてやりぁいい気になりやがって。そんなに痛い目に遭いたいならやってやるよ!」
男はマユカの髪を掴んで引っ張る。
「ちょっと!離して!」
マユカは必死に抵抗する。そんなマユカを見ても、街ゆく人は我関せずを貫いていた。
「誰か助けて!」
マユカの必死の叫びも虚しく、男によってマユカは裏路地に連れて行かれる。しかし、
「坊や、ちょいと悪戯が過ぎるんじゃないか?」
そこには七十代にしては背筋がピンとした男性がいた。
「誰だ、てめえ!」
男は子供扱いされたことに苛立ち、男性に殴りかかる。だが、男性は臆することなく男の拳を掴み、関節をひねって身動きを封じる。
「早く逃げるんだ。なんだったら、警察を呼んでもいい。」
「ありがとうございます!」
男性に言われるまま、マユカは逃げてゆく。
「お前さんも、こんな馬鹿な真似はやめるんだ。」
「ちっ、わーったよ!」
男は、男性の関節技から開放され、立ち去ってゆく。それを見るなり、
「お嬢さん、もう大丈夫だ。安心するといい。」
男性は気配を感じ取り、近
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