第36話 救出 前編
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私は食客10人を連れ父上を助けに向かった。
父上は大守の派遣した軍に捕われて護送されたらしいと近所の叔父さんから聞いた。
叔父さんの話によると、父上は大守の不正を糾弾したらしい。
その結果、逆に大守の怒りを買い今の状態になった。
父上は正しいことをしただけだ。
何も後ろ指を指されるようなことなどしていない。
許せない!
必ず父上を助け出してみせる。
「お前達。私の父上を助ける為に力を貸しておくれ!」
「姉御。任してください!」
食客達10人は心強く声をあげた。
私は費西山で大守の軍を襲撃する為に待ち伏せをすることにした。
叔父さんの話では大守の軍は100人位のはずだ。
頭数では向こうの方が上だが、この辺りの渓谷は幅が狭く一度に大人数を展開することはできない。
それでも私達が不利なのは変わりがない。
無理は承知の上だ。
これしか方法がない以上腹を括るしかない。
私の我が侭でこんなことに巻き込んしまい、食客達には本当に悪いことをした。
「すまない。こんなことに巻き込んでしまって・・・」
今更ながら、食客達を巻き込んだことに少し後悔を覚えた。
これから大守の軍を襲撃すれば、食客達の殆どが死ぬことに成る。
生き残ったとしても大守の奴は私達をお尋ね者として触れを出すに決まっている。
そうなればこの泰山郡には居られない。
何故、何も悪いことをしていない私達がこんな理不尽な目に遭わなければならないんだ!
私は大守へのぶつけどころの無い怒りで拳を握り締めていた。
父上を助け出す為とはいえ、こいつらには惨いことをしていると思った。
「姉御。臧戒様には今迄世話になりました。臧戒様が糞大守に殺されると分っていて、見過ごせる訳ないですぜ。姉御は臧戒様を助け出すことに集中してください」
「そうですぜ。こんなときでもなけりゃ俺達に見せ場なんてないですぜ」
「姉御らしくありやせんぜ。いつもの調子で俺達に檄を飛ばしてくだせえ」
食客達は弱気になっていた私を元気づけてくれた。
お前達ありがとう。
「姉御。大守の軍が渓谷に入りやしたぜ。もう少ししたらここに現れますぜ」
見張りをしていた食客の1人が、大守の軍が来た事を伝えた。
私は腰に下げた剣を抜き放ち、剣を天に高々と突きつけた。
「父上を助け出すぞーーーーーー!」
「オオオオオオォーーーーーー!」
食客達も私の声に呼応するように各々の武器を天に突きつけ大声を挙げた。
私達は大守の軍を後方から襲う為に目に突かない場所に各々身を潜め襲撃の機会を待つことにした。
大守の軍は予定通り現れ私達の前を通過していった。
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