第八十四話 映画を観てその一
[8]前話 [2]次話
第八十四話 映画を観て
富美子はお洒落をして越智と待ち合わせた、越智は普段通りの恰好で如何にも動きやすそうなものだったが。
富美子も同じだった、特に飾らない外出着で頭には阪神タイガースの帽子があったが越智はその防止に注目した。
「随分古い帽子だな」
「そう?」
「ああ、昔のユニフォームのだろ」
その帽子をじっと見て言うのだった。
「よく持ってるな」
「いや、復刻ユニフォームの時の試合に行ってね」
甲子園のとだ、富美子は話した。
「親戚の人が」
「その時にか」
「親戚の人が私とお姉ちゃんの分まで買ってくれたのよ」
「それで被ってるんだな」
「そう。似合う?」
「いいな」
微笑んでだ、越智は答えた。
「やっぱり阪神のユニフォームいいよな」
「それで帽子もね」
「一番恰好いいユニフォームはな」
それはというのだ。
「阪神だよな」
「そうよね」
「華があるんだよ」
「自然とね」
「それでな」
越智はさらに話した。
「誰が着ても似合うんだよな」
「そうそう、他のチームからトレードで来た人が着ても」
「生え抜きの人みたいに絵になるよな」
「そうなのよね」
「俺も被ってきたらよかったな」
こうもだ、越智は言った。
「そうしたらよかったな」
「幸君も?」
「そう思ったよ、ただ俺は今のユニフォームのしか持ってないんだよ」
今の阪神のというのだ。
「古いのないんだよ」
「古いのも味あるのよね」
「阪神はな、それで今から百貨店行こうか」
越智はデートの話に入った。
「そうしようか」
「そうね、これからね」
富美子もさんせいした。
「映画やるまでね」
「映画は午後からだよ」
「午後の何時から?」
「一時からだよ」
「じゃあ二時間位あるわね」
富美子は自分の携帯で時間を確認して言った。
「それじゃあ」
「じゃあお昼もな」
越智は食事の話もした。
「百貨店の中で食うか」
「一階のフードコーナー?」
百貨店の中でお昼を食べると聞いてだ、富美子はそちらかと尋ねた。
「あそこで?」
「ああ、あそこがいいだろ」
越智はあっさりとした口調で答えた。
「やっぱりな」
「百貨店の中で食べるなら」
「他にもお店多いけれどな」
百貨店の中ではというのだ。
「けれど安くて美味くてな」
「量も多いし」
「だからな」
富美子に微笑んで話した。
「あそこに行こうな」
「まずは」
「あそこでラーメンとか食って」
そうしてというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ