第六幕その五
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織田作さんは皆を別れて擦れ違う形で向こう側に行きました、皆はその織田作さんを見送ってまた坂を進みましたが。
ナターシャはその中でこんなことを言いました。
「あの着物にマントと帽子の恰好が」
「よいのう」
「独特の粋さがありますね」
「うむ、わしも好きじゃ」
リンキティンク王が見てもです。
「実にのう」
「粋ですよね」
「ああした格好もじゃ」
是非にと言うのでした。
「してみたいわ」
「そうですよね」
「だからな」
それでというのです。
「今度は」
「織田作さんのファッションをですか」
「してみるか」
「いや、日本の着物に草履にです」
王子も言ってきました。
「帽子にマントとは」
「お主から見てもよいな」
「粋です」
実際にというのです。
「実に」
「そうであるな」
「はい、王様がそう言われるならです」
「お主もか」
「してみたいです」
織田作さんのファッションをというのです。
「是非」
「そうじゃな」
「はい、本当に」
「何でも昔の日本のファッションで」
ナターシャがお話してきました。
「昔はああしたです」
「粋なファッションがか」
「あったそうです」
昔の日本にはというのです。
「一九四〇年代までは」
「左様か」
「はい、織田作さんもその頃の方なので」
「ああしたファッションをか」
「今でも着られてますね」
「そうなのか、あのセンスは見事じゃ」
リンキティンク王はこうまで言いました。
「和洋折衷というのじゃな」
「そうです」
「わしもしたいぞ」
「では」
「うむ、また着てみるぞ」
こう言うのでした、そうしたお話もしながらです。
晴明神社に着きました、するとです。
いきなり尻尾が九本ある狐が出て来て皆に言ってきました。
「そろそろ来る頃だと思っていたわ」
「おお、そうなのか」
「ええ、晴明様が陰陽術でね」
それでというのです。
「今日の午前中の今頃にお客さんがね」
「この神社に来るとか」
「言っておられたから」
それでというのです。
「もうそろそろだってね」
「思っておったのか」
「そうしたらよ」
笑顔で言うのでした。
「今丁度ね」
「わし等が来たのじゃな」
「そうよ、王様と王子様は前も来たけれど」
それでもというのです。
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