第二十三話 剣生その十
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「もう何でも作れるんです」
「そうなんだ」
「和食も洋食も中華も」
その全てをというのだ。
「そうなんですよ」
「いや、食べるの好きですさかい」
空汰が笑ってまた昴流に話した。
「そうですさかい」
「それでなんだね」
「よかったら昴流さんも」
「その時が来たらね、ただ僕も一人暮らしで」
昴流は微笑んで自分のことも話した。
「それなりにね」
「お料理をですか」
「作ってるよ、昔はね」
護刃に高校時代のことも話した。
「三人でね」
「仲良くでした」
「そうだったよ」
過去のことを隠して答えた。
「そして今はね」
「お一人ですか」
「そうなんだ、ただ一人だとね」
苦笑いになって話した、今度は。
「作る量も限られるし」
「それで、ですか」
「寂しいね」
「そうなんですね」
「どうもね」
こう言うのだった。
「今は」
「そうですか」
「やっぱり一人は寂しいよ」
「そうね、一人暮らしは寂しいものがあるわ」
火煉も言ってきた。
「私もそうだけれど」
「お料理もですよね」
「私は三食いつも神父さんと一緒なの」
「教会の」
「ええ、朝早く来てそこでね」
「朝ご飯を頂いて」
「晩ご飯もね」
こちらもというのだ。
「作ってね」
「そうして頂いて」
「そしてね」
「帰られていますか」
「いつも質素と思われても」
他人からというのだ。
「美味しいものをね」
「頂いていますか」
「そうなの。いいものよ」
昴流に微笑んだまま答えた。
「そちらはね。けれどね」
「一人暮らしだからですか」
「寂しいものはね」
「やはりありますか」
「ええ。ただお友達はいるから」
ここでだ、火煉はこんなことを言った。
「寂しくないともね」
「言えますか」
「ぬいぐるみのね。子供の頃から一緒なの」
「そうなのですね」
「今も一緒に暮らしているわ」
「ではご自宅では」
「お風呂に入ったり寝たりね」
「そうする場所ですか」
「そうなの」
まさにというのだ。
「今はね」
「そうですか」
「ええ、お酒もあるしね」
「お酒お好きですか」
「ワインが特にね」
「いいですね、僕もワイン好きですよ」
征一狼も話に入ってきた。
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