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Fate/WizarDragonknight
聖杯
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すのは、黒い、泥の塊だった。泥を細く高く固め上げ、その頂上部分では、泥が皿のように薄く広く広がっている。
 そして、その頂点部分には、黒い太陽が闇の光で洞窟内を照らし出し、見るだけで不安に駆られていく。

「いらっしゃい、いらっしゃーい」

 その声は、アマダム。
 ハルトたちは全員身構える。
 見れば、泥の物体の裏から、その姿が歩み出ていた。

「ようこそ、聖杯戦争の中枢部へ」
「中枢?」

 士が首を傾げる。

「ここは教会ではなさそうだが?」
「のほほのほ〜! あの教会は、あくまで参加者との接点用。見滝原のあちこちにあるのよーん」

 いつのまにか扇子を手にしたアマダムは、小躍りしながらハルトたちを挑発する。

「本当はこっち。この大聖杯から、各教会へ魔力を伝えているの。だから言うなればここは、聖杯戦争の運営本部よ〜」
「運営本部……大聖杯って……まさか……!」

 そのキーワードを頼りに、ハルトは泥の塊を見つめる。
 歪な形で、この空間の中心を陣取るそれ。優雅さなど欠片も感じさせないデザインだが、その天辺で暗い光を放つ球体は、どことなく神秘性さえも感じた。

「これが……聖杯……!?」

 聖杯戦争そのもののきっかけ。
 そして、全ての参加者が奪い合う、万能の願望器。命を奪い合い、多くの参加者がすでにその命を散らしている現状を引き起こした元凶。
 だが、その姿はハルトが想像していたものとは大きく異なる。栄光を表わすように、金で作られた盃を想像していただけに、目の前の泥の塊が聖杯だとは受け入れがたかった。

「俺たちは……こんなものを巡って戦っていたというのか?」

 ハルトは言葉を失う。
 それは、ハルトだけではない。可奈美やコウスケも。そして、聖杯によってこの世界に連れて来られたサーヴァントである真司、友奈、響も同様であった。

「こんなものが本当に、どんな願いでも叶えてくれるの?」

 その問いかけは、友奈の口から出てきていた。
 アマダムは扇子を閉じる。口元だけ隠しても、いやらしい笑みははっきりと見えた。

「そうよ〜。男は度胸、女は愛嬌。オカマは最強、聖杯は願望。結城友奈。あなたたちがこの世界にいる奇跡それ自体が証拠よ〜ん」
「そんなド派手なアジトに、わざわざオレたちを連れてくるたぁ、どういう了見だ?」

 コウスケが吠える。

「運営側だろうが何だろうが、参加者七人を一人で相手取るとかいう無茶を企んでるわけじゃねえだろ?」
「ご名答じゃよーん、ビースト」

 アマダムはビーストを指した指を回す。

「私は〜。聖杯戦争そのものから召喚されたルーラーのサーヴァント」

 両腕を広げ、聖杯の直下で体を回転させた。

「つまーり! 聖杯に蓄
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