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仮面ライダーAP
陰謀編 穢れた正義と堕ちた英雄 最終話
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。私の祖国はもう、私の心にしか無い」

 リーダーと視線を交わすことなく、ジークフリートは独り拳を握り締める。国を追放され、居場所を失い、それでも祖国と亡き部下達を忘れることなく戦い続けて来た孤高の武人。そんなジークフリートの背中を、リーダーの青年は肩越しに見つめていた。

 約11年前の2009年。旧シェードとの戦いで多くの部下を失い、自身も右眼を奪われたジークフリートは、改造人間に対する差別意識を剥き出しにした危険人物と化していた。そんな彼を御することが出来なかった某国政府は、「救国の英雄」であるはずの彼を追放するしかなかった。それがどれほどの過ちであろうと、他に選択肢など無かったのである。
 だが故郷を追われてもなお、ジークフリートの胸中に宿る憎悪の炎が絶えることはなかった。むしろ祖国を追放されて孤独になったことにより、彼の差別意識はより苛烈に先鋭化されてしまったのである。民衆に迫害され続け、孤立を深めていた改造被験者達の自助組織が過激思想に染まり、やがてノバシェードと化してしまったように。

「だからこそ私は己の心に従い、この組織こそが第2の祖国であると定めたのだ。……さぁ、訓練を始めるぞ。聖戦の日は近いのだからな……!」
「……あぁ」

 もはや、その歩みが止まることはないのだろう。そう遠くない未来、「仮面ライダー」によって討たれるその時まで。彼は躊躇うことなく、復讐鬼に堕ちた同志達と共に、破滅の道へと向かい続けていた――。

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