暁 〜小説投稿サイト〜
仮面ライダーAP
陰謀編 穢れた正義と堕ちた英雄 最終話
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話

 扇情的なバスタオル姿のまま、謎の男との通話を始めた真凛。そこで彼女の視線はようやく、ギルエード山地での爆発事件を報じるニュース映像に向けられる。緊張に震えているミルヴァを気遣い、その隣に寄り添っている頼もしい後輩(ヘレン・アーヴィング)の背中が、彼女の目に留まっていた。

『ニュースを見たぞ。随分と派手に暴れたようだが……仮面ライダー共にやらせたのではないだろうな?』
「それが嫌だから、直接この私に情報を流したのでしょう? 新世代ライダー達でも、ジャスティアライダー達でも、ノバシェード対策室でもなく……この私に」
『……』
「心配しなくても、そんな無粋な真似はしないわ。……その様子だと、よほど彼らに借りを作りたくないようね。今となっては祖国の危機より自分の面子……ということかしら? 番場(ばんば)総監直轄の新世代ライダー達や、公安機関の対策室だけならともかく、アウトローなジャスティアライダー達まで毛嫌いするなんて。やってることの割には、意外と潔癖なのね?」
『……口を慎め、スチュワート。改造人間は非情なる殺戮兵器だ。決して存在すら許してはならぬ悪魔の産物だ。そのような連中にすら情けを掛けている連中に、救国の名誉などくれてはやらん。それだけのことだ』
「ふふっ、相変わらずの差別主義ね。あなたのそういうところ、最高に反吐が出るわ。祖国がこんなことになっているというのに、『軍事顧問』だからと言って『例の組織』から離れようともしない。かつての英雄も、随分と堕ちたものね。あなたの部下達も、草葉の陰で泣いてるわよ」

 通話先から響いて来る、低く威圧的な男性の声。その威厳溢れる声色に対しても全く物怖じすることなく、真凛は挑発的な微笑を浮かべていた。湯上がりの裸身から滲み出る甘く濃厚なフェロモンが、外観以上の色香を齎している。
 ギルエード山地にノバシェードのアジトが隠されているという情報は、通話先の男が真凛個人に流していたものだったのだ。彼女はこの男から得た情報を利用し、アジトを壊滅させていたのである。

『改造人間の悍ましさを知らぬ貴様如きに我が信念は理解出来まい。ファルツ中佐の無念も、バレンストロート大尉の怒りも、ロスマン中尉の苦しみも……イェンセン少尉の痛みも。貴様のような浅ましい女には、到底分からぬことだろう。この「任務」が終われば、貴様を我が「組織」に招致するつもりでいたが……どうやら、貴様にその資格は無かったようだな』
「任務? 笑わせないで。あなたは頼んでもいない情報を勝手に寄越して来ただけ。そして私はそれを勝手に利用した、それだけのことでしょう? 何も頼まれた覚えは無いわ。押し付けがましい男はモテないわよ」
『……やはりどうあっても、我々と組むつもりはないのだな。貴様の諜報能力は我が「組織」も高く評価していたのだが…
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ